「3つのC」による歴史的アニメーション映画の研究:『おとぎ噺おんぶおばけ』を事例にして

「3つのC(コンテンツ、キャリア、コンテクスト)」とは、フィルム・アーカイブの分野において、映画のコンテンツは根本的にキャリアとコンテクストによって特徴づけられる、という考えに基き保存する対象を定義する一般的な概念である。本稿では、この「3つのC」を用いたアーカイブ的アプローチで行った、横山隆一のカラーアニメーション映画『おとぎ噺おんぶおばけ』の調査を事例研究として紹介する。この事例では、3種類のフィルムストックで構成された16 mmカラー反転フィルムという「キャリア」の検証と、上映環境(「コンテクスト」)に関する資料調査を中心に、さらに制作資料や横山本人の証言を参考にすることで、この歴史的作...

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Published inアニメーション研究 Vol. 23; no. 1; pp. 115 - 122
Main Author 早川, めぐみ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本アニメーション学会 31.01.2023
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ISSN1347-300X
2435-1989
DOI10.34370/jjas.23.1_115

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Summary:「3つのC(コンテンツ、キャリア、コンテクスト)」とは、フィルム・アーカイブの分野において、映画のコンテンツは根本的にキャリアとコンテクストによって特徴づけられる、という考えに基き保存する対象を定義する一般的な概念である。本稿では、この「3つのC」を用いたアーカイブ的アプローチで行った、横山隆一のカラーアニメーション映画『おとぎ噺おんぶおばけ』の調査を事例研究として紹介する。この事例では、3種類のフィルムストックで構成された16 mmカラー反転フィルムという「キャリア」の検証と、上映環境(「コンテクスト」)に関する資料調査を中心に、さらに制作資料や横山本人の証言を参考にすることで、この歴史的作品のコンテンツをある程度補完することが可能となった。またセル画や背景画といった中間素材は、キャリアとコンテクストが関わる以前のコンテンツを規定する要素として、コンテンツの保存に欠かせない重要な資料であることを論じる。
ISSN:1347-300X
2435-1989
DOI:10.34370/jjas.23.1_115