症例 50歳にみられた心内膜床欠損症の1手術治験例

心内膜床欠損症は解剖学的に多くの病型が考えられ欠損の程度により臨床症状,手術成績など著しく異なる.重症例の多くは生後,数年以内に死の転帰をとるとされ,50歳以上の生存例は,ごく少ないと考えられる.しかも,これらは一次孔開存のみか,これに軽度の僧帽弁亀裂が加わる程度のものでなけれぽならない.われわれは術前ASD+MSとして外科治療にのぞんたが,ECD+MSiであった50歳の1例を経験した.心胸郭比68%と心肥大強度,心電図ではQRS電気軸+100°と右軸偏位,心尖部での輪転様拡張期雑音などの所見から,ECDを疑うことはできなかった. 手術に関しては,一次孔をテフロンパッチにて縫着,術後ブロックを...

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Published in心臓 Vol. 6; no. 12; pp. 1736 - 1741
Main Authors 谷口, 堯, 小笠原, 長康, 湊, 宏司, 堺, 裕, 榊原, 宏, 島倉, 唯行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1974
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.6.12_1736

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Summary:心内膜床欠損症は解剖学的に多くの病型が考えられ欠損の程度により臨床症状,手術成績など著しく異なる.重症例の多くは生後,数年以内に死の転帰をとるとされ,50歳以上の生存例は,ごく少ないと考えられる.しかも,これらは一次孔開存のみか,これに軽度の僧帽弁亀裂が加わる程度のものでなけれぽならない.われわれは術前ASD+MSとして外科治療にのぞんたが,ECD+MSiであった50歳の1例を経験した.心胸郭比68%と心肥大強度,心電図ではQRS電気軸+100°と右軸偏位,心尖部での輪転様拡張期雑音などの所見から,ECDを疑うことはできなかった. 手術に関しては,一次孔をテフロンパッチにて縫着,術後ブロックを防ぐため,冠状静脈洞を左房側に誘導し房室弁口部ではプレジェットを三尖弁基部中隔尖におき後半1/3部を僧帽弁前基部にて縫着した.今後,術後経過を注意深く観察していくつもりである.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.6.12_1736