症例 洞調律僧帽弁狭窄症に合併しCTにて診断し得た上腸間膜動脈塞栓症の1例

洞調律の僧帽弁狭窄症兼大動脈弁閉鎖不全症に合併した上腸間膜動脈塞栓症を,CTにて早期診断し救命しえた1例を報告した. 症例は54歳男性.23歳でリウマチ熱に罹患し,この頃より心雑音を指摘されていたが自覚症状もなく放置していた.平成元年9月25日,息切れを主訴に当科外来受診した.入院翌日の朝食後,突然腹痛を訴え,腸雑音の消失を認めた.僧帽弁狭窄症の存在と急性発症の腹痛より,腸問膜動脈塞栓症を疑い,腹部造影CTを施行したところ,上腸間膜動脈の閉塞を認め,急性上腸間膜動脈塞栓症と診断した.発症より約5時間後,血栓塞栓摘除術が施行され,その後の経過は良好である.腸間膜動脈塞栓症は早期診断が困難であり,...

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Published in心臓 Vol. 25; no. 5; pp. 535 - 538
Main Authors 上野, 明, 小森, 貞嘉, 秋元, 滋夫, 吉崎, 哲世, 浅川, 哲也, 神谷, 喜八郎, 内山, 暁, 佐藤, 仁美, 小泉, 潔, 田村, 康二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1993
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.25.5_535

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Summary:洞調律の僧帽弁狭窄症兼大動脈弁閉鎖不全症に合併した上腸間膜動脈塞栓症を,CTにて早期診断し救命しえた1例を報告した. 症例は54歳男性.23歳でリウマチ熱に罹患し,この頃より心雑音を指摘されていたが自覚症状もなく放置していた.平成元年9月25日,息切れを主訴に当科外来受診した.入院翌日の朝食後,突然腹痛を訴え,腸雑音の消失を認めた.僧帽弁狭窄症の存在と急性発症の腹痛より,腸問膜動脈塞栓症を疑い,腹部造影CTを施行したところ,上腸間膜動脈の閉塞を認め,急性上腸間膜動脈塞栓症と診断した.発症より約5時間後,血栓塞栓摘除術が施行され,その後の経過は良好である.腸間膜動脈塞栓症は早期診断が困難であり,その予後は極めて悪く,急性腹症の中でも重篤なものの1つとされている.本症例は早期診断により血栓塞栓摘除のみにて救命しえたまれな例であり,文献的考察を含め報告した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.25.5_535