症例 シベンゾリンにより左室内圧較差が軽減した心Fabry病の1例

症例は46歳の男性.労作時における胸部圧迫感の精査のため入院.家族歴に心臓突然死と2名の心不全死が存在し,うち1名はFabry病と診断されている.白血球のα-galactosidase Aは2.OnMo1/mgP/hと活性が低下しており,心筋生検の光顕標本にて心筋細胞の著しい空胞変性や,電顕像で年輪状のセラミドの蓄積物が認められ,心Fabry病と診断された.心臓カテーテル検査で,左室流出路に50mmHgの圧較差が認められたが,シベンゾリン100mgの静脈投与後圧較差は10mmHgまで減少した.また,心エコーにて著明な左室肥大と,僧帽弁の収縮期前方運動および前乳頭筋が収縮期にあたかも流出路を妨げ...

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Published in心臓 Vol. 36; no. 3; pp. 205 - 210
Main Authors 植村, 晃久, 加藤, 茂, 宮城島, 賢二, 菱田, 仁, 久保, 奈津子, 杉浦, 厚司, 森本, 紳一郎, 平光, 伸也, 加藤, 靖周, 木村, 勝智, 岩瀬, 正嗣, 大槻, 真嗣
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2004
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.36.3_205

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Summary:症例は46歳の男性.労作時における胸部圧迫感の精査のため入院.家族歴に心臓突然死と2名の心不全死が存在し,うち1名はFabry病と診断されている.白血球のα-galactosidase Aは2.OnMo1/mgP/hと活性が低下しており,心筋生検の光顕標本にて心筋細胞の著しい空胞変性や,電顕像で年輪状のセラミドの蓄積物が認められ,心Fabry病と診断された.心臓カテーテル検査で,左室流出路に50mmHgの圧較差が認められたが,シベンゾリン100mgの静脈投与後圧較差は10mmHgまで減少した.また,心エコーにて著明な左室肥大と,僧帽弁の収縮期前方運動および前乳頭筋が収縮期にあたかも流出路を妨げるような所見が観察された.この乳頭筋の起始異常が流出路圧較差の原因であることが示唆された.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.36.3_205