第40回理論心電図研究会 カテコラミン誘発性多形性心室頻拍

【背景】運動中の突然死をおこす疾患の中で,カテコラミン誘発性多形性心室頻拍(CPVT)がある.この臨床的特徴を検討した. 【対象】本研究に賛同が得られた施設から送られ,CPVTと診断された35例(発症平均年齢ll.3±72歳)を対象とした. 【結果】主訴は失神が91%,家族歴からが9%であった,安静時心電図の特徴は徐脈でQTcは正常であった.誘発されたCPVTの心拍数は199±46bpmであり,ほとんどのCPVTは非持続性(67%)であったが,持続性も34%あった.CPVT波形は多形性が59%,多形性と2方向性が21%,2方向性が15%,多形性と心室細動(VF)が6%であった.運動負荷では全例...

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Published in心臓 Vol. 38; no. 5; pp. 526 - 532
Main Authors 神代, 万寿美, 安田, 東始哲, 深水, 誠二, 三浦, 大, 櫻田, 春水, 松岡, 優, 柴田, 利満, 原田, 研介, 城尾, 邦隆, 牛ノ濱, 大也, 新村, 一郎, 大野, 拓郎, 住友, 直方, 小西, 央郎, 中村, 好秀, 黒嵜, 健一, 早川, 聡, 新垣, 義夫, 西崎, 光弘, 長嶋, 正實
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2006
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.38.5_526

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Summary:【背景】運動中の突然死をおこす疾患の中で,カテコラミン誘発性多形性心室頻拍(CPVT)がある.この臨床的特徴を検討した. 【対象】本研究に賛同が得られた施設から送られ,CPVTと診断された35例(発症平均年齢ll.3±72歳)を対象とした. 【結果】主訴は失神が91%,家族歴からが9%であった,安静時心電図の特徴は徐脈でQTcは正常であった.誘発されたCPVTの心拍数は199±46bpmであり,ほとんどのCPVTは非持続性(67%)であったが,持続性も34%あった.CPVT波形は多形性が59%,多形性と2方向性が21%,2方向性が15%,多形性と心室細動(VF)が6%であった.運動負荷では全例(100%)に,カテコラミン投与では73%にCPVTが誘発されたが,プログラム刺激で誘発された例はなかった.また,加算平均心電図での心室遅延電位も記録された例はなかった.平均6.7±5.3年の経過観察中,20%が突然死し,6%が重篤な脳神経後遺症を残した.19%の家系に家族歴を認めた.Ca拮抗薬を投与された7例,植込み型除細動器(ICD)を植え込んだ9例では突然死はなかった. 【結語】CPVTはその機序として,撃発活動が考えられる.β遮断薬では完全にCPVTは抑えられず,ICDの植え込みが必要と考えられる.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.38.5_526