症例 左脚ブロックおよび右軸偏位を呈した老年者ASDの1例

先天性心疾患で老年期まで生存する例は一般にまれである.そのなかでASDは最も高頻度に認められる.老年期に至り初めて心不全を呈するASDでは,若年例よりも診断困難なことが多い加齢による変化が重なり検査所見が非典型的なため,老年者心疾患の鑑別診断上みのがされることが原因と考えられる. われわれは,64歳の1例を経験したが,心電図は左脚ブロックおよび右軸偏位を呈していた.ASDの代表的心電図は,右軸偏位を伴う右脚ブロックである・老年者例では,右脚ブロックを示さない症例が増加する・左脚ブロックを合併したASDは3例(うち本邦1例)の報告があるが,右軸偏位を合併した症例はない.また左脚ブロックに伴う軸偏...

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Published in心臓 Vol. 12; no. 8; pp. 880 - 884
Main Authors 上田, 慶二, 大川, 真一郎, 鎌田, 千鶴子, 杉浦, 昌也, 北野, 幸英, 伊藤, 雄二, 佐々木, 妙子, 村上, 元孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 1980
Subjects
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ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.12.8_880

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Summary:先天性心疾患で老年期まで生存する例は一般にまれである.そのなかでASDは最も高頻度に認められる.老年期に至り初めて心不全を呈するASDでは,若年例よりも診断困難なことが多い加齢による変化が重なり検査所見が非典型的なため,老年者心疾患の鑑別診断上みのがされることが原因と考えられる. われわれは,64歳の1例を経験したが,心電図は左脚ブロックおよび右軸偏位を呈していた.ASDの代表的心電図は,右軸偏位を伴う右脚ブロックである・老年者例では,右脚ブロックを示さない症例が増加する・左脚ブロックを合併したASDは3例(うち本邦1例)の報告があるが,右軸偏位を合併した症例はない.また左脚ブロックに伴う軸偏位として,右軸偏位は少ない.本症例は,ASDによる右軸偏位に加え,後天性に左脚ブロックを合併したと考えられ,ASDに伴う伝導障害として.興味ある所見と思われるので,検査所見に及ぼす影響もあわせて検討,報告した.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.12.8_880