症例 褐色細胞腫による難治性心不全にカルベジロールの漸増療法が奏効した1例

症例は59歳,男性.既往歴として43歳時に褐色細胞腫の手術を受けていた.腹部CT上褐色細胞腫の再発と肺野の陰影を認め,入院となった.入院後,肺野の陰影増強と呼吸困難をきたし人工呼吸を行った.カルペリチド(hANP)の短期間投与により利尿を図り一旦抜管したが,再度の呼吸困難と高度な胸水貯留をきたし再挿管.血中ノルアドレナリンの著明な高値と心エコー上び漫性壁運動低下を認め,カテコールアミン心筋症が考えられた.急性増悪期に,hANP,ミルリノンの投与を行い,慢性期にはピモベンダンとカルベジロールを漸増させ併用した.胸水は長期貯留したが,心機能の改善とともに次第に減少し,人工呼吸器からも離脱した. 褐...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in心臓 Vol. 32; no. 7; pp. 557 - 562
Main Authors 下川, 泰史, 小河, 幹治, 河田, 正仁, 山口, 雅人, 五十嵐, 宣明, 宮武, 博明, 岡田, 敏男, 小林, 征一, 清水, 雅俊, 水谷, 哲郎, 高田, 幸浩, 森田, 瑞穂
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本心臓財団 2000
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0586-4488
2186-3016
DOI10.11281/shinzo1969.32.7_557

Cover

More Information
Summary:症例は59歳,男性.既往歴として43歳時に褐色細胞腫の手術を受けていた.腹部CT上褐色細胞腫の再発と肺野の陰影を認め,入院となった.入院後,肺野の陰影増強と呼吸困難をきたし人工呼吸を行った.カルペリチド(hANP)の短期間投与により利尿を図り一旦抜管したが,再度の呼吸困難と高度な胸水貯留をきたし再挿管.血中ノルアドレナリンの著明な高値と心エコー上び漫性壁運動低下を認め,カテコールアミン心筋症が考えられた.急性増悪期に,hANP,ミルリノンの投与を行い,慢性期にはピモベンダンとカルベジロールを漸増させ併用した.胸水は長期貯留したが,心機能の改善とともに次第に減少し,人工呼吸器からも離脱した. 褐色細胞腫に合併した難治性心不全を救命し,その際αβブロッカーの漸増療法が有効であった.
ISSN:0586-4488
2186-3016
DOI:10.11281/shinzo1969.32.7_557