レーザー硬組織加工効果の波長依存性 これからのレーザー治療応用の発展に向けて

硬組織は波長9.6μm付近に著しく巨大な吸収スペクトルをもっている。今回, 精密な赤外分光分析によって各硬組織のこの巨大吸収ピーク波長を精査し, それがレーザー加工効果にもつ意義について実験的な検討を行った。まず, フーリエ変換赤外分光光度計を用いて豚骨, ヒト抜去歯の分光分析を行い, 各巨大吸収ピーク波長を細密に検索した。つづいて, 波長可変CO2レーザー装置を用いて, 各硬組織毎にその巨大吸収波長近傍のレーザーをチューニングし, その収束光を各硬組織に照射したときの加工効果を比較検討した。その結果, 9.6μm帯のレーザーの加工効果は10.6μmのCO2レーザーよりも著しく大きく, また各...

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Published in日本レーザー医学会誌 Vol. 17; no. 3; pp. 51 - 56
Main Author 長澤, 明範
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本レーザー医学会 1996
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ISSN0288-6200
1881-1639
DOI10.2530/jslsm1980.17.3_51

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Summary:硬組織は波長9.6μm付近に著しく巨大な吸収スペクトルをもっている。今回, 精密な赤外分光分析によって各硬組織のこの巨大吸収ピーク波長を精査し, それがレーザー加工効果にもつ意義について実験的な検討を行った。まず, フーリエ変換赤外分光光度計を用いて豚骨, ヒト抜去歯の分光分析を行い, 各巨大吸収ピーク波長を細密に検索した。つづいて, 波長可変CO2レーザー装置を用いて, 各硬組織毎にその巨大吸収波長近傍のレーザーをチューニングし, その収束光を各硬組織に照射したときの加工効果を比較検討した。その結果, 9.6μm帯のレーザーの加工効果は10.6μmのCO2レーザーよりも著しく大きく, また各硬組織の吸収ピーク波長に近いレーザーほどその加工効果は大きいことが示され, 加工効果にもつレーザー波長の意義は10-2μmレベルと緻密なものであることがわかった。今回の研究結果は今後高度化するレーザー医学応用研究の一つの方法論を示唆するものと考えられる。
ISSN:0288-6200
1881-1639
DOI:10.2530/jslsm1980.17.3_51