力概念に関するオルタナティブフレームワークの研究―面接法による6学年児童の事例一

本研究では、小学校6学年児童が持っている力の概念についての特徴を明らかにするため、以下に示す2つの観点で33名の児童に対し、個々に面接調査を行い、それぞれに結果がえられた。1.彼らが力について抱いている具体的経験基盤(concrete empirical props)について力という言葉をどういう時に聞いたことがあるかについて質問することで、彼らが力という言葉からどういう状況を想像するのかに関して調べた。これによって、児童の約67%が、その言葉から、「人が体を使う時」の状況を思い浮かべるということがわかった。2.ある現象の起因と、力という言葉との結びつきについていろいろな玩具などを操作させるこ...

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Published in日本理科教育学会研究紀要 Vol. 31; no. 3; pp. 49 - 57
Main Authors 福岡, 敏行, 宮脇, 一利
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本理科教育学会 1991
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ISSN0389-9039
2433-0140
DOI10.11639/formersjst.31.3_49

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Summary:本研究では、小学校6学年児童が持っている力の概念についての特徴を明らかにするため、以下に示す2つの観点で33名の児童に対し、個々に面接調査を行い、それぞれに結果がえられた。1.彼らが力について抱いている具体的経験基盤(concrete empirical props)について力という言葉をどういう時に聞いたことがあるかについて質問することで、彼らが力という言葉からどういう状況を想像するのかに関して調べた。これによって、児童の約67%が、その言葉から、「人が体を使う時」の状況を思い浮かべるということがわかった。2.ある現象の起因と、力という言葉との結びつきについていろいろな玩具などを操作させることで、彼らにとって、さまざまな現象の起因と力とがどのような関係にあるのかを調査し、彼らの持っている力の概念に関する各フレームワークを分類した。その際、Wattsの力についての8つのオルタアティプフレームワークを参考にし、彼らの持っている宣言的知識の傾向性の違いを分類基準とした。その結果、何人かの児童は、「ものが持っている力」フレームワークのみを、どの場面でも強固に使用する傾向にあるということなどがわかった。さらに、そのことから、われわれは、科学史を参考にし、力の概念の発展過程について、考察を行った。
ISSN:0389-9039
2433-0140
DOI:10.11639/formersjst.31.3_49