硬膜外自家血パッチ治療で硬膜下くも膜外注入になった2症例
特発性脳脊髄液漏出症に対するX線透視下硬膜外自家血パッチ術(epidural blood patch:EBP)の際,硬膜下くも膜外腔注入になった2症例を報告する.【症例1】50歳女性.脳脊髄液漏出症に対し3回のEBPを行ったが症状が軽減しなかった.4回目のEBPの際,穿刺部より尾側に楕円状の造影剤貯留像を認めた.自家血を9 ml注入した時点で頭痛を訴えたため終了した.EBP後CTで硬膜下造影と判断した.翌日から症状軽減し5日後退院した.【症例2】47歳女性.発症から約7週後にEBPを行った.その際,穿刺部より尾側正中に限局した造影剤貯留像を認めた.くも膜下造影でないことを確認し,自家血を10...
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Published in | 日本ペインクリニック学会誌 Vol. 32; no. 8; pp. 187 - 191 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
25.08.2025
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Subjects | |
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ISSN | 1340-4903 1884-1791 |
DOI | 10.11321/jjspc.25-0001 |
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Summary: | 特発性脳脊髄液漏出症に対するX線透視下硬膜外自家血パッチ術(epidural blood patch:EBP)の際,硬膜下くも膜外腔注入になった2症例を報告する.【症例1】50歳女性.脳脊髄液漏出症に対し3回のEBPを行ったが症状が軽減しなかった.4回目のEBPの際,穿刺部より尾側に楕円状の造影剤貯留像を認めた.自家血を9 ml注入した時点で頭痛を訴えたため終了した.EBP後CTで硬膜下造影と判断した.翌日から症状軽減し5日後退院した.【症例2】47歳女性.発症から約7週後にEBPを行った.その際,穿刺部より尾側正中に限局した造影剤貯留像を認めた.くも膜下造影でないことを確認し,自家血を10 ml注入し終了した.注入後より腰下肢痛が出現したが翌日には改善した.EBP後CTで硬膜下造影と判断した.離床開始後は頭痛なく5日後退院した.【考察】本症例では脳脊髄液漏出症の治癒過程で硬膜外腔が癒着しており,注入した血液が残存した硬膜破綻部から硬膜下腔に流れ込んだと推測した.【結語】自家血注入時の非典型的な造影像や神経症状の出現は硬膜下投与を疑い,注入中止を考慮する. |
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ISSN: | 1340-4903 1884-1791 |
DOI: | 10.11321/jjspc.25-0001 |