脆弱性骨盤輪骨折に対してtrans iliac trans sacral screw固定後, 上殿動脈の仮性動脈瘤をきたした1例
高齢者の骨盤輪骨折に対する低侵襲手術としてtrans iliac trans sacral screw (TITS) 固定が行われているが, 合併症としての血管損傷は稀でその診断や治療, 予防について広く認識されていない. 症例は70歳, 男性. Rommens分類type IIcの脆弱性骨盤輪骨折に対して経皮的にTITS固定を行った. 術後, TITS刺入部と近接する上殿動脈深枝に仮性動脈瘤を認め, コイル塞栓術を施行した. 塞栓後, 貧血の進行はなく, 骨癒合を認めた. 本症例でのTITSの刺入点と上殿動脈深枝との距離は近接しており, TITSの挿入で動脈損傷を引き起こす可能性の高い症例で...
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Published in | 日本外傷学会雑誌 Vol. 37; no. 4; pp. 371 - 375 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本外傷学会
20.10.2023
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Subjects | |
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ISSN | 1340-6264 2188-0190 |
DOI | 10.11382/jjast.37.4_02 |
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Summary: | 高齢者の骨盤輪骨折に対する低侵襲手術としてtrans iliac trans sacral screw (TITS) 固定が行われているが, 合併症としての血管損傷は稀でその診断や治療, 予防について広く認識されていない. 症例は70歳, 男性. Rommens分類type IIcの脆弱性骨盤輪骨折に対して経皮的にTITS固定を行った. 術後, TITS刺入部と近接する上殿動脈深枝に仮性動脈瘤を認め, コイル塞栓術を施行した. 塞栓後, 貧血の進行はなく, 骨癒合を認めた. 本症例でのTITSの刺入点と上殿動脈深枝との距離は近接しており, TITSの挿入で動脈損傷を引き起こす可能性の高い症例であった. TITSを挿入する際には, 術前に造影CTで上殿動脈枝の走行を確認し, 適切に周囲組織の保護を行ったうえで, 安全に手術を施行することが重要である. |
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ISSN: | 1340-6264 2188-0190 |
DOI: | 10.11382/jjast.37.4_02 |