欧米における患者への医学情報サービス

「I. はじめに」患者への医学情報提供は1)医学図書館, 2)患者図書館, 3)公共図書館, 4)市民団体などで行われているが, 本稿は主として病院内患者図書館による医学情報サービスについて論じ, 医学図書館による患者一般への医学情報サービスは除く. 本論は筆者が見学したアメリカ(1997), イギリス(1998), スウェーデン(1999), フランス(2001)の実情と文献とに基づいてまとめたものである. なお, 日本では用語において「図書館」と「図書室」の使い分けがしばしば見られるが本論では一貫して図書館を使用する. II. 患者図書館の歴史ヨーロッパの患者図書館は13世紀頃の病院に始ま...

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Published in医学図書館 Vol. 51; no. 4; pp. 330 - 333
Main Author 菊池, 佑
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本医学図書館協会 20.12.2004
日本医学図書館協会
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ISSN0445-2429
1884-5622
DOI10.7142/igakutoshokan.51.330

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Summary:「I. はじめに」患者への医学情報提供は1)医学図書館, 2)患者図書館, 3)公共図書館, 4)市民団体などで行われているが, 本稿は主として病院内患者図書館による医学情報サービスについて論じ, 医学図書館による患者一般への医学情報サービスは除く. 本論は筆者が見学したアメリカ(1997), イギリス(1998), スウェーデン(1999), フランス(2001)の実情と文献とに基づいてまとめたものである. なお, 日本では用語において「図書館」と「図書室」の使い分けがしばしば見られるが本論では一貫して図書館を使用する. II. 患者図書館の歴史ヨーロッパの患者図書館は13世紀頃の病院に始まる. 宗教団体が経営する当時の多くの病院では, 患者の苦悩に対する慰めや生きる意欲をもたせるために聖職者が聖書や宗教書をベッドサイドで読み聞かせたりあるいは読ませたりしたのが病院医療における読書活動の起源であり, これが後世の患者図書館の原型であると言われている. その後, 娯楽書や一般図書も揃えるようになり専用の部屋での貸出へと発展し, やがて図書館司書などが担当する患者図書館が各地に出現していった. 第二次世界大戦後は公共図書館の発展拡大に伴い病院へのサービスも地域住民サービスの一環として行われるようになった. 1990年代に入り患者への医療情報開示の動きと相侯って患者図書館は患者への医学情報の提供をサービスの一つに加え今日に至っている.
ISSN:0445-2429
1884-5622
DOI:10.7142/igakutoshokan.51.330