真武湯と防已黄耆湯の併用投与は蛋白尿の少ない慢性腎臓病に進行抑制効果がある(第2報)

我々は真武湯と防已黄耆湯のエキス剤併用投与に慢性腎臓病(CKD)の進行抑制効果があることを報告したが,今回更に60ヵ月の観察期間について検討した。対象は,香川県済生会病院腎臓内科に通院中の CKD 患者24例(男性14例,女性10例,平均年齢75.9歳)。真武湯と防已黄耆湯のエキス顆粒5gずつを分2朝夕食前で併用処方した。 投与前,投与後12ヵ月毎に60ヵ月まで臨床検査値を検討した。内服自己中断などによる中止例がみられたが,10例は60ヵ月の内服が可能であった。血清クレアチニン値は,1.78mg/dL から60ヵ月後には1.75mg/dL,推算糸球体濾過量は30.20mL/min から34.3...

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Published in日本東洋医学雑誌 Vol. 71; no. 4; pp. 378 - 383
Main Author 小路, 哲生
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本東洋医学会 2020
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ISSN0287-4857
1882-756X
DOI10.3937/kampomed.71.378

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Summary:我々は真武湯と防已黄耆湯のエキス剤併用投与に慢性腎臓病(CKD)の進行抑制効果があることを報告したが,今回更に60ヵ月の観察期間について検討した。対象は,香川県済生会病院腎臓内科に通院中の CKD 患者24例(男性14例,女性10例,平均年齢75.9歳)。真武湯と防已黄耆湯のエキス顆粒5gずつを分2朝夕食前で併用処方した。 投与前,投与後12ヵ月毎に60ヵ月まで臨床検査値を検討した。内服自己中断などによる中止例がみられたが,10例は60ヵ月の内服が可能であった。血清クレアチニン値は,1.78mg/dL から60ヵ月後には1.75mg/dL,推算糸球体濾過量は30.20mL/min から34.39mL/min と,悪化を認めず,生活の安定した7例では投与前値より有意な改善を認めた。これらより腎硬化症と思われる CKD に対する真武湯と防已黄耆湯の長期併用投与に腎不全進行抑制効果があると考えられた。
ISSN:0287-4857
1882-756X
DOI:10.3937/kampomed.71.378