レニン直接ラジオイムノアッセイ法による高齢者レニン-アンジオテンシン系に関する研究
加齢に伴うレニン-アンジオテンシン系の変化を, モノクローナル抗体を用いたレニン直接ラジオイムノアッセイ法, および従来法 Plasma renin activity (以下PRA), Total renin activity (以下TRA) で検討した. 60歳以下16名, 60歳以上14名の健常者に対し, 常食30分臥位後に採血を行い, PRA及びトリプシン活性化法によるTRAを測定, 更に我々の開発したモノクローナル抗体を用いた総レニン直接RIA法とパスツール研の活性型レニン直接RIA法で測定を行った. PRAによるレニン値は加齢により減少 (60歳以下2.2±0.5ng/ml/h, 6...
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| Published in | 日本老年医学会雑誌 Vol. 25; no. 6; pp. 621 - 625 |
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| Main Authors | , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本老年医学会
01.11.1988
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| Subjects | |
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0300-9173 |
| DOI | 10.3143/geriatrics.25.621 |
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| Summary: | 加齢に伴うレニン-アンジオテンシン系の変化を, モノクローナル抗体を用いたレニン直接ラジオイムノアッセイ法, および従来法 Plasma renin activity (以下PRA), Total renin activity (以下TRA) で検討した. 60歳以下16名, 60歳以上14名の健常者に対し, 常食30分臥位後に採血を行い, PRA及びトリプシン活性化法によるTRAを測定, 更に我々の開発したモノクローナル抗体を用いた総レニン直接RIA法とパスツール研の活性型レニン直接RIA法で測定を行った. PRAによるレニン値は加齢により減少 (60歳以下2.2±0.5ng/ml/h, 60歳以上0.7±0.1ng/ml/h; mean±SE, p<0.01) し, 活性型レニン直接RIA法によるレニン値も加齢により減少した (60歳以下35±5pg/ml, 60歳以上17±2pg/ml, p<0.01). 一方, TRAと総レニン直接RIA法によるレニン値 (Plasma total renin concentration; PTRC) は加齢による変化はなかった (TRA; 60歳以下10.3±1.6ng/ml/h, 60歳以上7.7±1.0ng/ml/h, PTRC; 60歳以下442±128pg/ml, 60歳以上250±52pg/ml). 従来法で求めた活性型レニン (PRA)の総レニン (TRA) に対する比 (A/T比) は, 加齢と共に減少し (相関係数r=-0.683, p<0.01), 直接RIA法によるA/T比も, 加齢により減少した (相関係数r=-0.535, p<0.01). モノクローナル抗体を用いた新しいレニン直接RIA法により, 加齢に伴うレニン活性の低下が活性型レニン濃度の低下を反映していることを確認した. 更に, 血中総レニン量は加齢により低下せず, A/T比が減少することから, 老人ではプロレニンのプロセッシングに異常がある可能性も示唆された. |
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| ISSN: | 0300-9173 |
| DOI: | 10.3143/geriatrics.25.621 |