遺伝子組換えHBワクチン接種者の長期観察 少量皮内追加接種と皮下接種との比較
遺伝子組換えHBワクチンのnonresponderへの少量皮内追加接種の長期効果をみるために, ワクチン接種後に抗体陽性化例について, 4年後のHBs抗体陽性率および抗体価を検討した. 医療従事者689例にHBワクチンを3回皮下の基本接種し, 579例が陽性化した (Responder群).基本接種で陽性化しなかった110例のうち100例に少量皮内追加接種をし, 86例が陽性化した (Nonresponder群).この2群で4年後に観察出来たResponder群150例, Nonresponder群56例の合計208例を対象とした.また, 4年後に陰性化54例へはさらに皮下追加接種した. 4年...
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Published in | 感染症学雑誌 Vol. 68; no. 7; pp. 854 - 860 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本感染症学会
01.07.1994
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ISSN | 0387-5911 1884-569X |
DOI | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.68.854 |
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Summary: | 遺伝子組換えHBワクチンのnonresponderへの少量皮内追加接種の長期効果をみるために, ワクチン接種後に抗体陽性化例について, 4年後のHBs抗体陽性率および抗体価を検討した. 医療従事者689例にHBワクチンを3回皮下の基本接種し, 579例が陽性化した (Responder群).基本接種で陽性化しなかった110例のうち100例に少量皮内追加接種をし, 86例が陽性化した (Nonresponder群).この2群で4年後に観察出来たResponder群150例, Nonresponder群56例の合計208例を対象とした.また, 4年後に陰性化54例へはさらに皮下追加接種した. 4年後のHBs抗体陽性率はResponder群が56.0%, Nonresponder群が56.9%とほぼ同率であった.4年後に追加接種を行った54例では88.9%が再陽転したが, 両群ともに有意差はみとめられなかった. Responder群およびNonresponder群ともに, 最終獲得抗体価が高いほど4年後の抗体陽性率は高く, 陰性化例が少なかった. 両群ともに4年後のHBs抗体価は最終獲得抗体価に比例して低下した.4年後に陰性例への追加接種後の抗体価は1989年よりも高かった. 以上の成績から, 一度HBs抗体が陽性化すると, Responder群およびNonresponder群ともに, 抗体持続には差がみられず, nonresponderへの少量皮内追加接種は有用であり, 両群ともに陰性化例への追加接種は1回で十分であると考えられた. |
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ISSN: | 0387-5911 1884-569X |
DOI: | 10.11150/kansenshogakuzasshi1970.68.854 |