治療2 : Rectoceleの病態と治療

rectoceleは直腸前壁の弛緩が腟壁の膨らみとして現れるものであり, そこに便が溜まることにより, とくに女性においてしばしば排便障害の原因となっている. しかしわが国では, 本疾患はあまり認識されることはなく, その訳語もない. 私自身はこれを直腸腟壁弛緩症と称し, 現在まで57例を経験した. 症例は全例女性で, 年齢的には20歳~80歳代まで分布しており, 50歳代にピークがある. 出産回数は0~5回までばらつき, とくに出産が本症の原因であるとは考えられない. 症状としては, 便秘・残便感などが多い. 診断は肛門内に指を入れて前方に軽く曲げてみると, その部分が袋状になっているのを触...

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Published in日本大腸肛門病学会雑誌 Vol. 42; no. 6; pp. 987 - 993
Main Authors 高木, 幸一, 高野, 正博, 河野, 通孝, 野村, 真一, 橋本, 正也, 桂, 禎紀, 藤好, 建史, 辻, 順之
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 日本大腸肛門病学会 1989
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ISSN0047-1801
1882-9619
DOI10.3862/jcoloproctology.42.987

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Summary:rectoceleは直腸前壁の弛緩が腟壁の膨らみとして現れるものであり, そこに便が溜まることにより, とくに女性においてしばしば排便障害の原因となっている. しかしわが国では, 本疾患はあまり認識されることはなく, その訳語もない. 私自身はこれを直腸腟壁弛緩症と称し, 現在まで57例を経験した. 症例は全例女性で, 年齢的には20歳~80歳代まで分布しており, 50歳代にピークがある. 出産回数は0~5回までばらつき, とくに出産が本症の原因であるとは考えられない. 症状としては, 便秘・残便感などが多い. 診断は肛門内に指を入れて前方に軽く曲げてみると, その部分が袋状になっているのを触れ, 腟壁の膨らみとしてみることができる. 治療は, まず整腸剤・緩下剤・食事療法などの保存療法を行い, これで改善がみられなければ手術を勧めている. 手術法としては, 従来米国においては, ほとんどの論文で経直腸的手術が推奨されてきた. しかし私は感染の危険性等を考慮して経腟的に手術を行い, 良好な成績を得ているので報告する.
ISSN:0047-1801
1882-9619
DOI:10.3862/jcoloproctology.42.987