発汗による機能性スポーツ用インナーのパーフォーマンスヘの影響

冬季スポーツ用インナーには,吸湿発熱繊維を用いられている.近年,さまざまな吸湿発熱繊維が市場に現れ,吸湿発熱特性が着目されている.吸湿発熱繊維は,皮膚から出る不感蒸泄と繊維の官能基の反応により湿潤熱が発生する.本研究は,官能基の異なる吸湿発熱繊維の熱特性をJIS法に準じた装置によってΔTmaxや熱保持指数などの熱特性値を測定した.官能基の種類によって,これらの熱特性値が異なり,アクリレート系繊維はΔTmaxや熱保持指数が高いことが分かった.さらに,被験者に吸湿発熱繊維でできたウェアを着用してもらい,安静と運動を繰り返すプロトコルで,温冷感や湿潤感などの着用感,衣服内温湿度を測定し,熱特性値との...

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Published inデサントスポーツ科学 Vol. 45; pp. 48 - 56
Main Authors 水谷, 千代美, 倉本, 幹也, 奥, 貴憲, 海野, 稔貴
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 石本記念デサントスポーツ科学振興財団 22.02.2024
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ISSN0285-5739
2758-4429
DOI10.57488/descente.45.0_48

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Summary:冬季スポーツ用インナーには,吸湿発熱繊維を用いられている.近年,さまざまな吸湿発熱繊維が市場に現れ,吸湿発熱特性が着目されている.吸湿発熱繊維は,皮膚から出る不感蒸泄と繊維の官能基の反応により湿潤熱が発生する.本研究は,官能基の異なる吸湿発熱繊維の熱特性をJIS法に準じた装置によってΔTmaxや熱保持指数などの熱特性値を測定した.官能基の種類によって,これらの熱特性値が異なり,アクリレート系繊維はΔTmaxや熱保持指数が高いことが分かった.さらに,被験者に吸湿発熱繊維でできたウェアを着用してもらい,安静と運動を繰り返すプロトコルで,温冷感や湿潤感などの着用感,衣服内温湿度を測定し,熱特性値との関係を検討した.その結果,衣服内温度とΔTmaxや熱保持指数は相関が認められ,湿潤熱を抱き込む空気層がある吸湿発熱繊維がその効果保持に有効であることが分かった.しかし,綿製のインナーは吸湿発熱効果が他のインナーと同等以上あるにもかかわらず,衣服内温度が最も低く,有効性が認められなかった.
ISSN:0285-5739
2758-4429
DOI:10.57488/descente.45.0_48