三重県内で発生した稀な3型(ヨーロッパ型)E型肝炎ウイルスによる散発性急性肝炎の4症例

2003年10月から2010年11月までの約7年間に6例の散発性E型肝炎症例を経験した.いずれの症例も幸い重症化せず軽快したが,HEVの遺伝子解析が可能であった5例のうち4例から3型の中でも我が国では稀な,ヨーロッパで分離される株に近縁なHEVが検出された.個々の症例間の関連は認められず,明らかな感染原因は不明であったが,分離株4株の類似性が高く,遺伝子配列の一致率はORF2領域の412塩基長の配列において99.3~99.5%であった.これら4例の発生時期は2004年から2010年に及んだことから,三重県北中部では稀な3型(ヨーロッパ型)HEVの感染源が長期間に渡って維持されていることが推察さ...

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Published in肝臓 Vol. 52; no. 5; pp. 295 - 302
Main Authors 佐瀬, 友博, 岡野, 宏, 松崎, 晋平, 向, 克巳, 白木, 克哉, 岡本, 宏明, 竹井, 謙之, 西村, 晃, 伊藤, 圭一, 中野, 達徳, 齋藤, 知規
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本肝臓学会 2011
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ISSN0451-4203
1881-3593
DOI10.2957/kanzo.52.295

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Summary:2003年10月から2010年11月までの約7年間に6例の散発性E型肝炎症例を経験した.いずれの症例も幸い重症化せず軽快したが,HEVの遺伝子解析が可能であった5例のうち4例から3型の中でも我が国では稀な,ヨーロッパで分離される株に近縁なHEVが検出された.個々の症例間の関連は認められず,明らかな感染原因は不明であったが,分離株4株の類似性が高く,遺伝子配列の一致率はORF2領域の412塩基長の配列において99.3~99.5%であった.これら4例の発生時期は2004年から2010年に及んだことから,三重県北中部では稀な3型(ヨーロッパ型)HEVの感染源が長期間に渡って維持されていることが推察された.感染源が特定されておらず,この型のHEVによる急性肝炎の特徴も不明であることから,今後も注意深い観察による実態把握と感染予防対策の構築が必要である.
ISSN:0451-4203
1881-3593
DOI:10.2957/kanzo.52.295