右後上葉区域静脈(V2)分岐異常を認めた3例

右上葉の静脈還流は,一般的には肺尖区域静脈(V1),後上葉区域静脈(以下V2),前上葉区域静脈(V3)がV1-V3を形成して上肺静脈に流入するが,稀に破格を認める.今回我々は気管支背側を走行し,上肺静脈根部や左房へ流入するV2の破格を認めた症例を3例経験したので報告する.症例1-2は右上葉肺癌に対して右上葉切除およびリンパ節郭清を行った.破格のあるV2を確保し,結紮切離した上で右上葉気管支周囲の操作を行った.症例3は右下葉肺癌に対して右下葉切除およびリンパ節郭清を行った.破格のあるV2を確保しテーピングを行うことで,損傷することなく気管分岐下リンパ節郭清を行った.いずれの症例も術前の3 dim...

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Published in日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 36; no. 2; pp. 132 - 137
Main Authors 小林, 健一, 中川, 誠, 武田, 裕介
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会 15.03.2022
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ISSN0919-0945
1881-4158
DOI10.2995/jacsurg.36.132

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Summary:右上葉の静脈還流は,一般的には肺尖区域静脈(V1),後上葉区域静脈(以下V2),前上葉区域静脈(V3)がV1-V3を形成して上肺静脈に流入するが,稀に破格を認める.今回我々は気管支背側を走行し,上肺静脈根部や左房へ流入するV2の破格を認めた症例を3例経験したので報告する.症例1-2は右上葉肺癌に対して右上葉切除およびリンパ節郭清を行った.破格のあるV2を確保し,結紮切離した上で右上葉気管支周囲の操作を行った.症例3は右下葉肺癌に対して右下葉切除およびリンパ節郭清を行った.破格のあるV2を確保しテーピングを行うことで,損傷することなく気管分岐下リンパ節郭清を行った.いずれの症例も術前の3 dimension CT(以下3D-CT)にて血管走行の破格を確認し,安全に胸腔鏡下手術を施行した.気管支背側を走行するV2は比較的稀な破格ではあるが,安全を担保する上で念頭に置くべき破格である.
ISSN:0919-0945
1881-4158
DOI:10.2995/jacsurg.36.132