Helicobacter pylori除菌後の胃内視鏡所見と粘膜組織所見および13C-urea breath testによる判定の検討
われわれは,Helicobacter pylori(HP)陽性胃潰瘍30例,十二指腸潰瘍23例,胃十二指腸潰瘍11例,慢性胃炎38例に対して,amoxicillin(AMPC)またはclarithromycin(CAM)にて除菌治療を行い,胃内視鏡所見と胃粘膜組織所見を治療前後で比較検討をした。方法は除菌治療前,除菌終了4週間目の胃内視鏡検査施行時に胃体上部,体下部,前庭部の各大弯側からそれぞれ2カ所ずつ生検し,培養および組織学的検査をした。13C-urea breath test(UBT)は13C標識の尿素(Isotech社)100mgを無菌水30mlに溶解し,空腹時に投与し,さらに無菌水3...
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Published in | 消化器内視鏡の進歩:Progress of Digestive Endoscopy Vol. 50; pp. 147 - 151 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会 関東支部
1997
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Subjects | |
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ISSN | 0389-9403 0389-9403 |
DOI | 10.11641/pdensks.50.0_147 |
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Summary: | われわれは,Helicobacter pylori(HP)陽性胃潰瘍30例,十二指腸潰瘍23例,胃十二指腸潰瘍11例,慢性胃炎38例に対して,amoxicillin(AMPC)またはclarithromycin(CAM)にて除菌治療を行い,胃内視鏡所見と胃粘膜組織所見を治療前後で比較検討をした。方法は除菌治療前,除菌終了4週間目の胃内視鏡検査施行時に胃体上部,体下部,前庭部の各大弯側からそれぞれ2カ所ずつ生検し,培養および組織学的検査をした。13C-urea breath test(UBT)は13C標識の尿素(Isotech社)100mgを無菌水30mlに溶解し,空腹時に投与し,さらに無菌水30mlで2回口腔内を濯いだ。前,5,10,20,30,60分後に呼気約2.5lを採取した。13CO2はレーザ分光計で測定した。UBTは除菌前,除菌終了直後,2週後,4週後,12週後に測定した。慢性胃炎に対してはSydney systemで評価した。HP除菌治療はA群55例にlansoprazole(LAZ)30mg/日,CAM 600mg/日,ecabet Na(E-Na)2.0g/日,B群47例にLAZ 30mg/日,AMPC 2000mg/日,E-Na 2.0g/日を2週間投与した。全体の除菌率は72/102(70.5%)で,A群では30/55(54.5%)認められ,B群では42/47(89.3%)認められた。治療前の内視鏡所見では,びらん性胃炎は除菌有効例が無効例に比べてgradeが軽い傾向が認められ,治療後の有効例ではほとんどびらんの改善を認めた。発赤した胃炎では,除菌有効例はほとんど治療後改善を認め,胃粘膜組織像では好中球や単核球浸潤の改善を認めた。UBTは安全で簡便な検査法であり,HP除菌治療の効果判定に有用であると思われた。 |
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ISSN: | 0389-9403 0389-9403 |
DOI: | 10.11641/pdensks.50.0_147 |