凝集した直鎖アルカンのC K端XANES測定とDFT/MD計算による構造解析

sp3炭素を含む炭素材料のC K端XANESにおけるブロードなσ*ピークの構造を明らかにし,凝集した直鎖アルカンの構造解析を行うために,種々の直鎖アルカンのC K端のX線吸収端構造(XANES)を測定して第一原理計算でXANESを解析した.XANES測定はBL10/NewSUBARUで実施した.入射角依存C K端XANESから,Inシート基板に押さえつけて保持したn-C36H74の配向性は低く,Au基板にスピンコートしたn-C36H74は垂直配向を示した.加熱in-situ C K端XANES測定より,n-C36H74は固体状態から溶融状態になると配向性が低下した.実測C K端XANESは,電...

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Published inX線分析の進歩 Vol. 54; pp. 147 - 156
Main Authors 村松, 康司, 田中, 利幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本分析化学会 X線分析研究懇談会 31.03.2023
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ISSN0911-7806
2758-3651
DOI10.57415/xshinpo.54.0_147

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Summary:sp3炭素を含む炭素材料のC K端XANESにおけるブロードなσ*ピークの構造を明らかにし,凝集した直鎖アルカンの構造解析を行うために,種々の直鎖アルカンのC K端のX線吸収端構造(XANES)を測定して第一原理計算でXANESを解析した.XANES測定はBL10/NewSUBARUで実施した.入射角依存C K端XANESから,Inシート基板に押さえつけて保持したn-C36H74の配向性は低く,Au基板にスピンコートしたn-C36H74は垂直配向を示した.加熱in-situ C K端XANES測定より,n-C36H74は固体状態から溶融状態になると配向性が低下した.実測C K端XANESは,電場方向を考慮した直鎖アルカンのバンド計算によりほぼ再現でき,n-C36H74の垂直配向性も確認できた.分子動力学計算より,Au表面のn-C36H74は直鎖アルカン骨格が表面に対して平行になるが,その上の凝集構造では骨格が垂直になる分子が存在し,入射角依存C K端XANESの結果と整合した.
ISSN:0911-7806
2758-3651
DOI:10.57415/xshinpo.54.0_147