皮膚筋炎にてステロイド治療中に発症した皮膚結核の1例

1998年11月, 44歳男性が発熱, 下腿浮腫を主訴に当科入院した。血液検査所見, 筋電図, 筋生検により多発筋炎と診断され, ステロイド, および免疫抑制剤が投与され諸症状は改善し, 外来にて通院加療を行っていた。しかし発熱, 下腿浮腫に加え, 顔面および両前腕に紅斑が出現し, 2000年1月再入院となった。 症状, 皮膚症状, 血液検査所見より, 皮膚筋炎としての原病の再燃と考え, ステロイドパルスを施行したが症状は改善しなかった。皮疹の生検結果は一般的な炎症所見を認めるのみであった。各種抗生剤, 免疫抑制剤も投与されたがやはり効果は認められず, 2月12日永眠された。剖検結果は, 皮膚...

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Published in結核 Vol. 77; no. 6; pp. 465 - 470
Main Authors 荒川, 健一郎, 石崎, 武志, 澤井, 孝宏, 宮森, 勇, 飴島, 慎吾, 藤田, 匡邦, 水野, 史朗, 戸谷, 嘉孝, 出村, 芳樹, 若林, 聖伸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本結核病学会 15.06.2002
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ISSN0022-9776
1884-2410
DOI10.11400/kekkaku1923.77.465

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Summary:1998年11月, 44歳男性が発熱, 下腿浮腫を主訴に当科入院した。血液検査所見, 筋電図, 筋生検により多発筋炎と診断され, ステロイド, および免疫抑制剤が投与され諸症状は改善し, 外来にて通院加療を行っていた。しかし発熱, 下腿浮腫に加え, 顔面および両前腕に紅斑が出現し, 2000年1月再入院となった。 症状, 皮膚症状, 血液検査所見より, 皮膚筋炎としての原病の再燃と考え, ステロイドパルスを施行したが症状は改善しなかった。皮疹の生検結果は一般的な炎症所見を認めるのみであった。各種抗生剤, 免疫抑制剤も投与されたがやはり効果は認められず, 2月12日永眠された。剖検結果は, 皮膚, 皮下組織, 筋肉の結核症と診断された。また, 肺には活動性結核は認められなかった。 膠原病患者において特に副腎皮質ステロイド投与中は特に易感染宿主と考えられており, 結核の発症リスクも内包している。われわれはそのような患者において結核発症の可能性を常に念頭におき, 早期発見につとめ, 抗結核療法に備えるべきである。また, よりリスクの高い症例では化学予防も必要と思われる。
ISSN:0022-9776
1884-2410
DOI:10.11400/kekkaku1923.77.465