蝶形骨洞原発の小細胞型未分化癌例

小細胞型未分化癌は頭頸部領域において非常にまれな疾患である。食道領域などでは早期から広範囲に転移を来しやすく予後も極めて不良であり,現在まで確立された標準治療はない。今回,極めてまれな蝶形骨洞原発の小細胞型未分化癌の一症例を経験したので報告する。症例は71歳,女性。持続する鼻閉と繰り返す鼻出血のため近医を受診した。鼻咽腔ファイバーとCT画像にて鼻腔から蝶形骨洞に広がる腫瘍性病変を指摘され当科紹介となった。 経鼻的な内視鏡下腫瘍摘出術および頸部リンパ節郭清術を施行した。病理組織学的検査では瀰漫性に浸潤増殖する腫瘍組織を認め,免疫染色ではS-100,CD56,AE1/AE3が一部陽性であり小細胞型...

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Published in日本鼻科学会会誌 Vol. 51; no. 4; pp. 468 - 473
Main Authors 立川, 隆治, 有廣, 光司, 福入, 隆史, 竹野, 幸夫, 平川, 勝洋, 上田, 勉, 河野, 崇志
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本鼻科学会 2012
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ISSN0910-9153
1883-7077
DOI10.7248/jjrhi.51.468

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Summary:小細胞型未分化癌は頭頸部領域において非常にまれな疾患である。食道領域などでは早期から広範囲に転移を来しやすく予後も極めて不良であり,現在まで確立された標準治療はない。今回,極めてまれな蝶形骨洞原発の小細胞型未分化癌の一症例を経験したので報告する。症例は71歳,女性。持続する鼻閉と繰り返す鼻出血のため近医を受診した。鼻咽腔ファイバーとCT画像にて鼻腔から蝶形骨洞に広がる腫瘍性病変を指摘され当科紹介となった。 経鼻的な内視鏡下腫瘍摘出術および頸部リンパ節郭清術を施行した。病理組織学的検査では瀰漫性に浸潤増殖する腫瘍組織を認め,免疫染色ではS-100,CD56,AE1/AE3が一部陽性であり小細胞型未分化癌の診断に至った。術後に化学療法(CPT-11+CDDP)と放射線療法を施行した。退院後に縦隔と腹腔内転移が発症したが,現在まで外来にて緩和治療主体とした医療を継続中である。今回経験した副鼻腔原発の一例を報告すると同時に,若干の文献的考察を加えた。
ISSN:0910-9153
1883-7077
DOI:10.7248/jjrhi.51.468