常緑広葉樹のアラカシとヒサカキの実生における異なる光条件に対する水分通導機能の順応
二次林の照葉樹林化が進行する中、生育環境に対する常緑樹の水分通導機能の順応様式は不明な点が多い。本研究では、相対照度100%、10%および3%の下で生育させたアラカシおよびヒサカキの実生苗を対象に、水分通導機能の光順化を明らかにするために、通水特性、木部構造、葉量および葉のガス交換速度を調査した。アラカシでは、道管の直径は処理区間で異ならず、本数密度は100%区の個体で高かった。比断面積水分通導度(Ks)は処理区間で差がなかった。また、有意差はなかったものの、100%区の個体において総葉面積が小さく、比葉面積水分通導度(LSC)は高い傾向があった。さらに,100%区の個体では日中に気孔コンダク...
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| Published in | 森林応用研究 Vol. 23; no. 2; pp. 23 - 31 |
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| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
応用森林学会
31.08.2014
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| Subjects | |
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| ISSN | 1342-9493 2189-8294 |
| DOI | 10.20660/applfor.23.2_23 |
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| Summary: | 二次林の照葉樹林化が進行する中、生育環境に対する常緑樹の水分通導機能の順応様式は不明な点が多い。本研究では、相対照度100%、10%および3%の下で生育させたアラカシおよびヒサカキの実生苗を対象に、水分通導機能の光順化を明らかにするために、通水特性、木部構造、葉量および葉のガス交換速度を調査した。アラカシでは、道管の直径は処理区間で異ならず、本数密度は100%区の個体で高かった。比断面積水分通導度(Ks)は処理区間で差がなかった。また、有意差はなかったものの、100%区の個体において総葉面積が小さく、比葉面積水分通導度(LSC)は高い傾向があった。さらに,100%区の個体では日中に気孔コンダクタンス(gs)の低下が見られた。ヒサカキでは、100%区の個体で道管の直径、本数密度がともに小さく、Ksは低い傾向があった。また,総葉面積は小さく、LSCは高かった。100%区のヒサカキでは日中のgsの低下は見られなかった。これらの結果から、アラカシは強光条件下でも木部構造と気孔による失水調節の両面により、顕著な葉量の調節に葉への水分供給性を高く維持するのに対し、ヒサカキは強光条件下で葉量を著しく抑制することで葉への水分供給性を高めることが明らかとなった。 |
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| ISSN: | 1342-9493 2189-8294 |
| DOI: | 10.20660/applfor.23.2_23 |