腹部大動脈瘤に対するEVARの問題点 腹部コンパートメント症候群

破裂性腹部大動脈瘤(以下,rAAA)に対するステントグラフト内挿術(以下,EVAR)は手術の低侵襲化により治療成績の向上が期待されているが,循環動態が不安定な症例での治療成績は不十分である。rAAAに対する死亡原因の大きな要因として腹部コンパートメント症候群(以下,ACS)の発症があげられる。rAAAにおける腹腔内圧(以下,IAP)上昇の原因は①後腹膜腔に大量の血腫が占拠すること,②循環動態不安定症例では大量補液による組織浮腫が起こること,である。IAP>20mmHg以上で臓器障害を伴う場合はACSと診断する。ACS発症時の死亡率は高く,積極的に開腹減圧術を行う。現在はVacuum assis...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 35; no. 5; pp. 597 - 601
Main Authors 福田, 和歌子, 大徳, 和之, 皆川, 正仁, 鈴木, 保之, 谷口, 哲, 福田, 幾夫, 齊藤, 良明, 近藤, 慎浩, 青木, 哉志, 千代谷, 真理
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.07.2015
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.35.597

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Summary:破裂性腹部大動脈瘤(以下,rAAA)に対するステントグラフト内挿術(以下,EVAR)は手術の低侵襲化により治療成績の向上が期待されているが,循環動態が不安定な症例での治療成績は不十分である。rAAAに対する死亡原因の大きな要因として腹部コンパートメント症候群(以下,ACS)の発症があげられる。rAAAにおける腹腔内圧(以下,IAP)上昇の原因は①後腹膜腔に大量の血腫が占拠すること,②循環動態不安定症例では大量補液による組織浮腫が起こること,である。IAP>20mmHg以上で臓器障害を伴う場合はACSと診断する。ACS発症時の死亡率は高く,積極的に開腹減圧術を行う。現在はVacuum assisted Wound Closureを装着して管理を行う方法が減圧管理・感染予防の観点から推奨されている。持続的な出血を認める場合はtype 2 endoleakを疑うが,結紮術などの追加処置を行うことで救命が可能である。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.35.597