大学生を対象としたメンコ遊びの実施がハンドボール投げの距離および動作に与える影響

本研究の目的は,日本の伝統的なメンコ遊びを一定期間実施することがハンドボール投げに与える影響を明らかにすることであった.大学生48名を対象に,8週間,隔週20分程度,合計4回のメンコ遊びを大学体育授業の中で実施し,実施前後におけるハンドボール投げの距離および観察的動作評価による動作の変化を検証した.Pre, Post ともに同一の投げ方であった45名が分析対象者となった.統計処理は,t 検定,Wilcoxon の符号付順位検定および Kraskal-Wallis の検定を用いた.全分析対象者のうち25名は距離が向上し,20名は向上しなかった.ハンドボール投げの距離,観察的動作評価の各項目の得点...

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Published in大学体育スポーツ学研究 Vol. 22; pp. 31 - 40
Main Authors 加藤 忠彦, 前田 奎, 水島 淳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 全国大学体育連合 2025
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ISSN2434-7957
DOI10.20723/jpeshe.22.0_31

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Summary:本研究の目的は,日本の伝統的なメンコ遊びを一定期間実施することがハンドボール投げに与える影響を明らかにすることであった.大学生48名を対象に,8週間,隔週20分程度,合計4回のメンコ遊びを大学体育授業の中で実施し,実施前後におけるハンドボール投げの距離および観察的動作評価による動作の変化を検証した.Pre, Post ともに同一の投げ方であった45名が分析対象者となった.統計処理は,t 検定,Wilcoxon の符号付順位検定および Kraskal-Wallis の検定を用いた.全分析対象者のうち25名は距離が向上し,20名は向上しなかった.ハンドボール投げの距離,観察的動作評価の各項目の得点および総得点は,Pre と Post との間に有意差は認められなかった.Pre と Post の変化量の平均値 -0.27m を用いて,向上群19名,変化群7名および低下群19名として,群間で比較した結果,向上群はハンドボール投げの距離および投球腕の運動連鎖に関して,Post が Pre よりも有意に高値であった.しかし,低下群では,ハンドボール投げの距離に関して,Post が Pre よりも有意に低値であった.また,Post での投球腕のムチ動作は,向上群が変化群よりも有意に高値であった.これらの結果から,4回のメンコ遊びの実施によって,投球腕の動作が改善し,距離が向上する場合もあるが,距離が低下する場合もあることが明らかとなった.ボール遊びほど広い空間を必要としないメンコ遊びは,投球腕の動作の改善を通じた投能力の向上につながるひとつの手段になる可能性があるが,距離の低下を招く可能性にも留意する必要がある.
ISSN:2434-7957
DOI:10.20723/jpeshe.22.0_31