MitraClip 後の single leaflet device attachment(SLDA)に対して僧帽弁置換術を行った1例

僧帽弁閉鎖不全症(MR)に対してMitraClipを施行された後,MitraClipのdetachによりsevere MRが再発し僧帽弁置換術を行った症例を経験した.症例は82歳女性.Severe MRに対してMitraClipを施行し,mild程度のMRに制御できていたが,術後1カ月に心不全症状を有するMRの再発を認め,心エコー上single leaflet device attachment(SLDA)を生じていた.心不全も再発したため,外科的僧帽弁置換術を行った.高度の円背であり胸骨正中切開での右側左房アプローチでは視野展開が難しく経中隔アプローチへ術中変更した.MitraClipは前尖...

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Published in日本心臓血管外科学会雑誌 Vol. 49; no. 3; pp. 119 - 122
Main Authors 北方, 悠太, 恒吉, 裕史, 植木, 力, 山中, 憲, 平野, 雅大
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本心臓血管外科学会 15.05.2020
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ISSN0285-1474
1883-4108
DOI10.4326/jjcvs.49.119

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Summary:僧帽弁閉鎖不全症(MR)に対してMitraClipを施行された後,MitraClipのdetachによりsevere MRが再発し僧帽弁置換術を行った症例を経験した.症例は82歳女性.Severe MRに対してMitraClipを施行し,mild程度のMRに制御できていたが,術後1カ月に心不全症状を有するMRの再発を認め,心エコー上single leaflet device attachment(SLDA)を生じていた.心不全も再発したため,外科的僧帽弁置換術を行った.高度の円背であり胸骨正中切開での右側左房アプローチでは視野展開が難しく経中隔アプローチへ術中変更した.MitraClipは前尖A2と強固に癒合しており,MitraClipの除去は困難であり形成術は不可能と判断し,弁置換の方針とした.後尖にはMitraClipの痕を観察することができ,1~2 mm程度しか挟めていなかったと思われた.後尖は温存する形で,intra-annularに生体弁を縫着した.人工心肺のweaningは問題なく,術中経食道心エコーで弁形態に問題を認めなかった.術後経過は良好で,第14病日に退院となった.今回の症例により,MitraClip後にSLDAを合併した症例に対して弁形成は難しく,弁置換を行う必要があるため,MitraClipの適応には十分注意する必要がある.
ISSN:0285-1474
1883-4108
DOI:10.4326/jjcvs.49.119