腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術におけるラリンジアルマスク(プロシール®:LMA-ProsealTM)の有用性の検討

【目的】小児の腹腔鏡手術でラリンジアルマスク(以下,LMA)の使用報告は少ない.腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(以下,LPEC法)での気道管理を検討し,腹腔鏡手術でのLMAによる気道管理の有用性を報告する.【方法】2017年1月~2018年12月にLPEC法で手術を行った3歳以上の女児84例をA群:気管挿管54例,B群:LMA 30例にわけ,麻酔時間,導入時間(麻酔開始より手術開始まで),手術時間,覚醒時間(手術終了より麻酔終了まで),術中や術後合併症を後方視的に検討した.【結果】手術時月齢:A群70.5±30.57か月 vs B群74.8±27.59か月,身長:A群111.2±17.77 cm v...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 56; no. 6; pp. 921 - 925
Main Authors 久野, 克也, 中尾, 真, 大野, 耕一, 鮫島, 由友, 安福, 正男, 岩出, 珠幾, 上林, エレーナ幸江
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.10.2020
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.56.6_921

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Summary:【目的】小児の腹腔鏡手術でラリンジアルマスク(以下,LMA)の使用報告は少ない.腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術(以下,LPEC法)での気道管理を検討し,腹腔鏡手術でのLMAによる気道管理の有用性を報告する.【方法】2017年1月~2018年12月にLPEC法で手術を行った3歳以上の女児84例をA群:気管挿管54例,B群:LMA 30例にわけ,麻酔時間,導入時間(麻酔開始より手術開始まで),手術時間,覚醒時間(手術終了より麻酔終了まで),術中や術後合併症を後方視的に検討した.【結果】手術時月齢:A群70.5±30.57か月 vs B群74.8±27.59か月,身長:A群111.2±17.77 cm vs B群114.1±13.67 cm,体重:A群19.7±7.80 kg vs B群21.3±5.74 kgであり,両群間で有意差は認められなかった.麻酔時間:A群54.8±10.83分 vs B群45.6±9.09分,導入時間:A群21.8±4.00分 vs B群17.5±3.52分,手術時間:A群20.6±7.82分 vs B群20.9±6.59分,覚醒時間:A群12.5±5.17分 vs B群7.3±2.22分であった.術中合併症は両群で認めず,術後合併症はA群:10例(18.5%:嘔吐9例,悪心1例),B群:2例(6.7%:嘔吐2例)であった.麻酔時間,導入時間,覚醒時間において有意にLMA群が良好であった.【結論】LMAによる気道管理は麻酔時間の短縮が可能であり,LPEC法のような短時間の腹腔鏡手術ではLMAによる気道管理も選択肢の一つとなる可能性が示唆された.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.56.6_921