統計的公衆衛生サーベイランス

公衆衛生において,サーベイランスに基づく疾患の迅速な発見と対策は重要な課題の一つである.一方で,人命優先のためのスピードとトレードオフでデータの不完全性や報告遅れなどの問題があり,得られたデータを正確に読み解くための統計的知識が不可欠である.特にCOVID-19や次のパンデミックが喫緊の課題として迫っている現代において,その重要性は増している.本稿では,公衆衛生分野におけるサーベイランスとその時系列データを用いた統計的監視方法および変化の逐次的な検出方法について詳述する.特に,筆者らが注力してきた感染症のアウトブレイクの早期検知に世界的に用いられているFarrington アルゴリズムと空間ス...

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Published in日本統計学会誌 Vol. 55; no. 1; pp. 115 - 135
Main Authors 川島 孝行, 米岡 大輔, 田上 悠太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本統計学会 05.09.2025
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ISSN0389-5602
2189-1478
DOI10.11329/jjssj.55.115

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Summary:公衆衛生において,サーベイランスに基づく疾患の迅速な発見と対策は重要な課題の一つである.一方で,人命優先のためのスピードとトレードオフでデータの不完全性や報告遅れなどの問題があり,得られたデータを正確に読み解くための統計的知識が不可欠である.特にCOVID-19や次のパンデミックが喫緊の課題として迫っている現代において,その重要性は増している.本稿では,公衆衛生分野におけるサーベイランスとその時系列データを用いた統計的監視方法および変化の逐次的な検出方法について詳述する.特に,筆者らが注力してきた感染症のアウトブレイクの早期検知に世界的に用いられているFarrington アルゴリズムと空間スキャン統計について詳述する.また,サーベイランスの統計的性質を,誤警告の確率,検出遅延,検出成功確率などの指標を用いて評価する方法についても詳述する.
ISSN:0389-5602
2189-1478
DOI:10.11329/jjssj.55.115