Endotensionにより骨盤内を占拠した内腸骨動脈瘤(径12cm)の1例

症例は81歳,男性.2年前に他院で右内腸骨動脈瘤に対して腹部ステントグラフト内挿術,右内腸骨動脈コイル塞栓術を施行された.外来フォロー中にendoleakは認めないものの瘤拡大があり,追加治療を本人が希望せずに経過観察となっていた.今回,腹痛と尿閉を主訴に前医を受診し,右内腸骨動脈瘤の切迫破裂の可能性も考慮されて当科紹介となった.来院後,造影CTを施行すると右内腸骨動脈瘤が径125mmと著明に拡大し,骨盤内を占拠しており,骨盤内臓器が圧迫されて尿閉および右水腎症を呈していた.瘤内には造影効果を認めず,endotensionが原因の瘤拡大が示唆された.緊急で右内腸骨動脈瘤開窓術を施行した.術中所...

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Published in日本臨床外科学会雑誌 Vol. 81; no. 4; pp. 675 - 679
Main Authors 勝部, 年雄, 髙橋, 昌吾, 秋田, 雅史, 稲村, 順二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床外科学会 2020
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ISSN1345-2843
1882-5133
DOI10.3919/jjsa.81.675

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Summary:症例は81歳,男性.2年前に他院で右内腸骨動脈瘤に対して腹部ステントグラフト内挿術,右内腸骨動脈コイル塞栓術を施行された.外来フォロー中にendoleakは認めないものの瘤拡大があり,追加治療を本人が希望せずに経過観察となっていた.今回,腹痛と尿閉を主訴に前医を受診し,右内腸骨動脈瘤の切迫破裂の可能性も考慮されて当科紹介となった.来院後,造影CTを施行すると右内腸骨動脈瘤が径125mmと著明に拡大し,骨盤内を占拠しており,骨盤内臓器が圧迫されて尿閉および右水腎症を呈していた.瘤内には造影効果を認めず,endotensionが原因の瘤拡大が示唆された.緊急で右内腸骨動脈瘤開窓術を施行した.術中所見でも瘤内に明らかな血液の流入や新鮮血栓を認めず,瘤拡大の原因はendotensionによるものと診断した.術後経過は良好で,第12病日に独歩退院となった.術後半年時点,CTでは瘤の縮小を認めている.
ISSN:1345-2843
1882-5133
DOI:10.3919/jjsa.81.675