乾燥地域における乳の生産と利用の構造

乾燥地域における乳食の構造を生態環境史的な視点で概観し,それを踏まえ,二つの点から乾燥地域の乳食の意義を検討することとする.一つは,乳糖不耐の問題である.アジアの人々はほぼ全員が乳糖不耐であるもかかわらず,紀元前から乳食がアジアの地域に拡大普及し定着してきた.この乳糖不耐との関係から乾燥地域の乳食を検討する.いま一つは,「ヒトと家畜の関係性」という視点である.東アジアモンスーン地帯の多くでは,近代に至るまで,家畜としての草食性哺乳類の飼育目的は農耕や輸送であって,肉や乳の利用が行われてこなかった.この問題について,ヒトと家畜の関係性の視点から乾燥地域の乳食を検討する....

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Published in沙漠研究 Vol. 34; no. 4; pp. 113 - 121
Main Author 前田, 浩史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本沙漠学会 30.03.2025
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ISSN0917-6985
2189-1761
DOI10.14976/jals.34.4_113

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Summary:乾燥地域における乳食の構造を生態環境史的な視点で概観し,それを踏まえ,二つの点から乾燥地域の乳食の意義を検討することとする.一つは,乳糖不耐の問題である.アジアの人々はほぼ全員が乳糖不耐であるもかかわらず,紀元前から乳食がアジアの地域に拡大普及し定着してきた.この乳糖不耐との関係から乾燥地域の乳食を検討する.いま一つは,「ヒトと家畜の関係性」という視点である.東アジアモンスーン地帯の多くでは,近代に至るまで,家畜としての草食性哺乳類の飼育目的は農耕や輸送であって,肉や乳の利用が行われてこなかった.この問題について,ヒトと家畜の関係性の視点から乾燥地域の乳食を検討する.
ISSN:0917-6985
2189-1761
DOI:10.14976/jals.34.4_113