繰り返し採水試料のCFCs(クロロフルオロカーボン類)による霧島火山群湧水の滞留時間推定―Lumped parameter modelによる年代解析

霧島火山群湧水の滞留時間を見積もるため,2007年から2013年の7 年間に渡って繰り返し採水を実施し,CFCsを測定した。湧水のCFC-11とCFC-12の濃度関係(Tracer plot)とCFC-11濃度の年変動より,湧水の大部分は異なる涵養年代の地下水が混合して流出していると判断された。平均滞留時間推定に必要な地下水流動モデルには,CFC-12濃度の変動と各種地下水流動モデルの出力値の関係および水文地質特性に基づき,指数関数+ピストン流を選択した。Lumped parameter modelを用い,指数関数+ピストン流モデルの条件で見積もられた湧水の滞留時間は,1~58年であった。また...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本水文科学会誌 Vol. 46; no. 3; pp. 213 - 231
Main Authors 利部, 慎, 井手, 淨, 細野, 高啓, 嶋田, 純
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本水文科学会 2016
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1342-9612
1883-7166
DOI10.4145/jahs.46.213

Cover

More Information
Summary:霧島火山群湧水の滞留時間を見積もるため,2007年から2013年の7 年間に渡って繰り返し採水を実施し,CFCsを測定した。湧水のCFC-11とCFC-12の濃度関係(Tracer plot)とCFC-11濃度の年変動より,湧水の大部分は異なる涵養年代の地下水が混合して流出していると判断された。平均滞留時間推定に必要な地下水流動モデルには,CFC-12濃度の変動と各種地下水流動モデルの出力値の関係および水文地質特性に基づき,指数関数+ピストン流を選択した。Lumped parameter modelを用い,指数関数+ピストン流モデルの条件で見積もられた湧水の滞留時間は,1~58年であった。また,山体上部の湧水の滞留時間は10年未満だが,山麓の主要な湧水は概ね10年以上40年未満の滞留時間であった。また,地域南部の火山麓において,ピストン流成分の卓越した長い滞留時間(50~60年)をもつ湧水が認められた。この湧水は新規の溶岩流末端部から湧出しており,溶岩流の基部を選択的に流れる地下水流動系の存在が示唆される。
ISSN:1342-9612
1883-7166
DOI:10.4145/jahs.46.213