心囊穿破をきたした食道癌術後再建胃管潰瘍の1例

症例は75歳,男性。4年前に胸部食道癌に対して根治術施行後,肺転移とリンパ節再発をきたし,肺切除,癌免疫療法,化学療法による集学的治療継続中であった。背部痛を主訴に外来を受診した。血液検査では炎症反応高値のため,CT検査では感染のfocusははっきりしないものの,入院下での抗生剤加療を開始した。しかし改善乏しく,CT検査を再検した結果,心囊内の遊離ガス像を認め,再建胃管と心囊内との交通が考えられ,再建胃管潰瘍心囊穿破の診断で緊急手術を行った。経裂孔的に穿孔部へアプローチして肝円索充填と大網被覆を施行し,胸骨正中切開で開胸して心囊ドレナージも行った。術後48日目に肝不全により死亡退院となったが,...

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Published in日本腹部救急医学会雑誌 Vol. 45; no. 1; pp. 41 - 45
Main Authors 早野, 康一, 豊住, 武司, 中野, 明, 松原, 久裕, 大草, 拓司, 平田, 篤史, 村上, 健太郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本腹部救急医学会 31.01.2025
Subjects
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ISSN1340-2242
1882-4781
DOI10.11231/jaem.45.41

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Summary:症例は75歳,男性。4年前に胸部食道癌に対して根治術施行後,肺転移とリンパ節再発をきたし,肺切除,癌免疫療法,化学療法による集学的治療継続中であった。背部痛を主訴に外来を受診した。血液検査では炎症反応高値のため,CT検査では感染のfocusははっきりしないものの,入院下での抗生剤加療を開始した。しかし改善乏しく,CT検査を再検した結果,心囊内の遊離ガス像を認め,再建胃管と心囊内との交通が考えられ,再建胃管潰瘍心囊穿破の診断で緊急手術を行った。経裂孔的に穿孔部へアプローチして肝円索充填と大網被覆を施行し,胸骨正中切開で開胸して心囊ドレナージも行った。術後48日目に肝不全により死亡退院となったが,重症病態にもかかわらず術後21日目には経口摂取可能な状態まで回復できた。このような症例には外科的心囊ドレナージが不可欠であり,可能な限り穿孔部へのアプローチを行い,縫合閉鎖や充填などの処置を行うべきであると考える。
ISSN:1340-2242
1882-4781
DOI:10.11231/jaem.45.41