学童保育施設における児童の栄養状態を反映したおやつ提供のあり方の検討

学童期の児童にとって、おやつは補食としての役割を担う。しかし、学童保育施設の運営指針ではおやつの具体的な内容や栄養価については提言されておらず、空腹感を和らげる目的でしかとらえられていない。本研究では、学童保育施設を利用する児童の栄養状態と習慣的な食事摂取量を調査し、施設におけるおやつ提供のあり方について検証を試みた。K市に所在する15の学童保育施設を利用する児童を対象に、小学生・中学生・高校生のための簡易型自記式食事歴法質問票を用いた食事調査を実施し、有効回答を得られた293人(有効回答率38.6%)を解析対象とした。その結果、①京都府平均と比較して痩身傾向と肥満傾向の割合が高い、②脂質と食...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本栄養士会雑誌 Vol. 64; no. 1; pp. 31 - 38
Main Authors 木戸, 康博, 桑波田, 雅士, 小林, ゆき子, 青井, 渉, 吉村, 弘太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本栄養士会 2021
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0013-6492
2185-6877
DOI10.11379/jjda.64.31

Cover

More Information
Summary:学童期の児童にとって、おやつは補食としての役割を担う。しかし、学童保育施設の運営指針ではおやつの具体的な内容や栄養価については提言されておらず、空腹感を和らげる目的でしかとらえられていない。本研究では、学童保育施設を利用する児童の栄養状態と習慣的な食事摂取量を調査し、施設におけるおやつ提供のあり方について検証を試みた。K市に所在する15の学童保育施設を利用する児童を対象に、小学生・中学生・高校生のための簡易型自記式食事歴法質問票を用いた食事調査を実施し、有効回答を得られた293人(有効回答率38.6%)を解析対象とした。その結果、①京都府平均と比較して痩身傾向と肥満傾向の割合が高い、②脂質と食塩の摂取量において食事摂取基準を逸脱した者の割合が高い、③低学年と比較して中学年または高学年でカルシウムや鉄等の栄養素が摂取不足の傾向にあることが明らかとなった。現状提供されているおやつ内容ではこれらの課題は解消されないこと、施設でのおやつ提供の内容再考と児童の成長に合わせた栄養価の確保が必要であることが示唆された。
ISSN:0013-6492
2185-6877
DOI:10.11379/jjda.64.31