末梢血幹細胞採取におけるHematopoietic Progenitor cell(HPC)測定の有用性

CD34陽性細胞(CD34+)数と相関性が高いとされるHPCは安価で迅速に測定できる.今回,末梢血幹細胞採取における採取時期の決定や採取量の予測に末梢血HPC測定が有用かCD34+数と比較検討した.末梢血HPCは末梢血CD34+数と良好な相関を示し,特に同種(healthy donors:HD)群で相関が高かった.採取目標基準(2×106/kg)となる末梢血HPCカットオフ値はHD群で37個/μl,自家(patients:PT)群で23個/μlであったが,PT群ではばらつきを認めた.採取前の検査値で最終的なCD34+数の予測に有意な因子を解析したところ,PT群でG-CSF投与前と採取当日の血清...

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Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 64; no. 1; pp. 50 - 58
Main Authors 山本, 久史, 櫻井, 梨恵, 吉井, 真司, 成田, 円, 廣松, 真理子, 府川, 正儀, 内田, 直之, 牧野, 茂義, 髙橋, みどり, 関, 紀子, 小池, 由佳子, 芳野, 達弘, 水村, 真也, 谷口, 修一, 水村, 麻衣子, 米山, 彰子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 2018
Subjects
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ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.64.50

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Summary:CD34陽性細胞(CD34+)数と相関性が高いとされるHPCは安価で迅速に測定できる.今回,末梢血幹細胞採取における採取時期の決定や採取量の予測に末梢血HPC測定が有用かCD34+数と比較検討した.末梢血HPCは末梢血CD34+数と良好な相関を示し,特に同種(healthy donors:HD)群で相関が高かった.採取目標基準(2×106/kg)となる末梢血HPCカットオフ値はHD群で37個/μl,自家(patients:PT)群で23個/μlであったが,PT群ではばらつきを認めた.採取前の検査値で最終的なCD34+数の予測に有意な因子を解析したところ,PT群でG-CSF投与前と採取当日の血清LD値の比,体重,及び採取当日と採取前日のHPC数の差が特定でき,得られた回帰式は高い精度(R=0.986)で最終的なCD34+数を予測可能であった.HPCはPT群とHD群で検査精度の違いがあるが,HD群は採取当日の値で採取可否等の予測が可能であった.一方PT群では末梢血HPCのみでは採取可否や採取量の予測が難しいが,今回得られた回帰式より精度の高い予測が可能であった.HPC測定は検査精度ではCD34+に多少劣るものの,それを補う迅速性と低価格が利点であり,目的により用途を分ければより効果的な運用が可能になることが示唆された.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.64.50