掘削岩周辺の酸化還元環境変化が砒素溶出特性に与える影響

トンネル工事で発生する砒素含有掘削岩の受入先には拡散防止対策が必要であり,この対策の設計では掘削岩の砒素溶出特性が考慮されている。しかし,掘削や埋立て作業あるいは埋立て後の環境変化による溶出特性の変化は十分に考慮されていない。本研究では,砒素含有掘削岩を封じ込めた盛土内の酸素濃度等と浸出水の酸化還元電位(Eh)等の測定を行い,内部環境を確認した。酸素濃度は季節によって約10%~約20%で変動し,Ehは250mV前後で推移した。さらに,盛土から採取した掘削岩に対して還元剤を用いた溶出試験と掘削岩周辺の酸素濃度と砒素溶出量の関係を確認するための試験を行った。結果,Ehが低いほど砒素溶出量が多くなる...

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Published in地盤工学ジャーナル Vol. 20; no. 1; pp. 103 - 117
Main Authors 清水, 祐也, 鈴木, 奨士, 中村, 大樹, 大河原, 正文, 晴山, 渉, 竹花, 和浩
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 地盤工学会 01.03.2025
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ISSN1880-6341
DOI10.3208/jgs.20.103

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Summary:トンネル工事で発生する砒素含有掘削岩の受入先には拡散防止対策が必要であり,この対策の設計では掘削岩の砒素溶出特性が考慮されている。しかし,掘削や埋立て作業あるいは埋立て後の環境変化による溶出特性の変化は十分に考慮されていない。本研究では,砒素含有掘削岩を封じ込めた盛土内の酸素濃度等と浸出水の酸化還元電位(Eh)等の測定を行い,内部環境を確認した。酸素濃度は季節によって約10%~約20%で変動し,Ehは250mV前後で推移した。さらに,盛土から採取した掘削岩に対して還元剤を用いた溶出試験と掘削岩周辺の酸素濃度と砒素溶出量の関係を確認するための試験を行った。結果,Ehが低いほど砒素溶出量が多くなること,酸素濃度が高い方が砒素溶出量の増加が早く,最大溶出量も多くなることを確認した。
ISSN:1880-6341
DOI:10.3208/jgs.20.103