わが国のがん遺伝子診療インフラ整備について NCI Cancer Family Registryに学ぶ

家族性腫瘍は単一遺伝子性腫瘍(A)と多因子性腫瘍(B)に大別される. 前者の研究は癌研究の突破口となり21世紀型新医療パラダイムへの道を開いた. それは遺伝的体質(SNPs)と生活習慣相関バイオインフマティクスに基く個別化予知予防医療である. そこでは家系登録システムは家族性腫瘍Bを包含して, 大部分の生活習慣病の予防対策出るモデルとなる不可欠基本的な研究インフラである. 米国では1995年NCIが乳がんと大腸がんに関してCancer Family Registry (CFR)を研究インフラとして立上げ5年間でその有用性が証明された. それは協同運用, 多領域研究対応で, 生体資料保存と家族歴...

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Bibliographic Details
Published in医療 Vol. 57; no. 6; pp. 367 - 375
Main Authors 宇都宮, 譲二, 新井, 正美, 田村, 和朗
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 国立医療学会 20.06.2003
国立医療学会
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ISSN0021-1699
1884-8729
DOI10.11261/iryo1946.57.367

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Summary:家族性腫瘍は単一遺伝子性腫瘍(A)と多因子性腫瘍(B)に大別される. 前者の研究は癌研究の突破口となり21世紀型新医療パラダイムへの道を開いた. それは遺伝的体質(SNPs)と生活習慣相関バイオインフマティクスに基く個別化予知予防医療である. そこでは家系登録システムは家族性腫瘍Bを包含して, 大部分の生活習慣病の予防対策出るモデルとなる不可欠基本的な研究インフラである. 米国では1995年NCIが乳がんと大腸がんに関してCancer Family Registry (CFR)を研究インフラとして立上げ5年間でその有用性が証明された. それは協同運用, 多領域研究対応で, 生体資料保存と家族歴生活習慣情報収集を重視するシステムである. プロスペクティブ計画であるから透明性あるIC取得で倫理的にも安全である. そこで, わが国の問題解決の選択肢の一つとして一部の地域がCFRに参加して交流を通して学び, 30年来の癌家族登録の経験も生かし民族と文化の固有性にも適した新医療インフラを国家的施策として取り上げることが望まれる.
ISSN:0021-1699
1884-8729
DOI:10.11261/iryo1946.57.367