手動超音波併用乳癌検診の50歳未満受診者に対する有効性の検証

15年間における手動超音波併用乳癌検診 (以下, US併用検診) で検出した乳癌症例82例について受診時年齢を50歳未満と50歳以上に分けて集検精度, 診断能, 有自覚症状率を比較した. 結果, 50歳未満では50歳以上に比して要精検率, 有自覚症状率が有意に高く陽性予知度が有意に低いものの, 乳癌発見率, 感度, 特異度はほぼ同率であり50歳以上と同様に有用なUS併用検診が可能である事が判明した. 組織型の検討では50歳未満の非浸潤癌症例比率が50歳以上に比して有意に多いことが判明した. US併用検診では若年受診群において浸潤癌化する以前に乳癌を早期発見することができることを示唆している....

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 52; no. 2; pp. 190 - 197
Main Authors 川越, 肇, 熊澤, 伊和生, 名和, 正人, 土屋, 十次, 橋本, 英久, 浅野, 雅嘉, 立花, 進, 右納, 隆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本農村医学会 30.07.2003
日本農村医学会
Subjects
乳癌検診
検診精度
超音波検査
非浸潤性乳癌
非触知乳癌
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ISSN0468-2513
1349-7421
DOI10.2185/jjrm.52.190

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Abstract 15年間における手動超音波併用乳癌検診 (以下, US併用検診) で検出した乳癌症例82例について受診時年齢を50歳未満と50歳以上に分けて集検精度, 診断能, 有自覚症状率を比較した. 結果, 50歳未満では50歳以上に比して要精検率, 有自覚症状率が有意に高く陽性予知度が有意に低いものの, 乳癌発見率, 感度, 特異度はほぼ同率であり50歳以上と同様に有用なUS併用検診が可能である事が判明した. 組織型の検討では50歳未満の非浸潤癌症例比率が50歳以上に比して有意に多いことが判明した. US併用検診では若年受診群において浸潤癌化する以前に乳癌を早期発見することができることを示唆している. 15年間を5年毎の3期に分け腫瘤径を検討したところ, このUS併用検診の経年的腫瘤径縮小効果が示唆された. 即ち, 微小腫瘤径乳癌が多くなった結果, 非触知乳癌症例が集検例の26.6%を占めるうえにその72.3%が浸潤癌症例であったことが判明した. これを更に年齢別に見ると, 50歳未満の群ではその乳腺の硬さから50歳以上の群に比して非触知乳癌症例比率が多くなって30.2%を占め, その69.2%が浸潤癌症例であった. 視触診検診のみの検診ではこれらは見落とし例となり, 増加しつつある50歳代の乳癌死 亡率を更に増悪させることになるので, これを抑制するために50歳未満の若年受診群に対して安全で有効なUS併用検診を早急に導入することを提言する.
AbstractList 15年間における手動超音波併用乳癌検診（以下, US併用検診）で検出した乳癌症例82例について受診時年齢を50歳未満と50歳以上に分けて集検精度, 診断能, 有自覚症状率を比較した. 結果, 50歳未満では50歳以上に比して要精検率, 有自覚症状率が有意に高く陽性予知度が有意に低いものの, 乳癌発見率, 感度, 特異度はほぼ同率であり50歳以上と同様に有用なUS併用検診が可能である事が判明した. 組織型の検討では50歳未満の非浸潤癌症例比率が50歳以上に比して有意に多いことが判明した. US併用検診では若年受診群において浸潤癌化する以前に乳癌を早期発見することができることを示唆している. 15年間を5年毎の3期に分け腫瘤径を検討したところ, このUS併用検診の経年的腫瘤径縮小効果が示唆された. 即ち, 微小腫瘤径乳癌が多くなった結果, 非触知乳癌症例が集検例の26.6％を占めるうえにその72.3％が浸潤癌症例であったことが判明した. これを更に年齢別に見ると, 50歳未満の群ではその乳腺の硬さから50歳以上の群に比して非触知乳癌症例比率が多くなって30.2％を占め, その69.2％が浸潤癌症例であった. 視触診検診のみの検診ではこれらは見落とし例となり, 増加しつつある50歳代の乳癌死亡率を更に増悪させることになるので, これを抑制するために50歳未満の若年受診群に対して安全で有効なUS併用検診を早急に導入することを提言する.
15年間における手動超音波併用乳癌検診 (以下, US併用検診) で検出した乳癌症例82例について受診時年齢を50歳未満と50歳以上に分けて集検精度, 診断能, 有自覚症状率を比較した. 結果, 50歳未満では50歳以上に比して要精検率, 有自覚症状率が有意に高く陽性予知度が有意に低いものの, 乳癌発見率, 感度, 特異度はほぼ同率であり50歳以上と同様に有用なUS併用検診が可能である事が判明した. 組織型の検討では50歳未満の非浸潤癌症例比率が50歳以上に比して有意に多いことが判明した. US併用検診では若年受診群において浸潤癌化する以前に乳癌を早期発見することができることを示唆している. 15年間を5年毎の3期に分け腫瘤径を検討したところ, このUS併用検診の経年的腫瘤径縮小効果が示唆された. 即ち, 微小腫瘤径乳癌が多くなった結果, 非触知乳癌症例が集検例の26.6%を占めるうえにその72.3%が浸潤癌症例であったことが判明した. これを更に年齢別に見ると, 50歳未満の群ではその乳腺の硬さから50歳以上の群に比して非触知乳癌症例比率が多くなって30.2%を占め, その69.2%が浸潤癌症例であった. 視触診検診のみの検診ではこれらは見落とし例となり, 増加しつつある50歳代の乳癌死 亡率を更に増悪させることになるので, これを抑制するために50歳未満の若年受診群に対して安全で有効なUS併用検診を早急に導入することを提言する.
Author 右納, 隆
立花, 進
土屋, 十次
熊澤, 伊和生
浅野, 雅嘉
川越, 肇
名和, 正人
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References 4) Land CE, Boice JD, Shore RE, et al. Breast cancer risk from low dose exposure to ionizing radiation: results of parallel analysis of three exposed population in women. J Natl Cancer Inst. 1980; 65: 353-376.
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7) Parkin DM, Muir CS, Whelan SL, et al. Cancer Incidence in Five Continents. vol IV. IARC Sci Publ No.120. Lyon: IARC, 1992.
2) 近藤博之, 山口哲央, 黒田怜子, 他. スクリーンマンモグラフイの課題-40歳代のマンモグラフイ撮影の工夫-. 日乳癌検診学会誌1988; 7: 81-86.
3) 東野英利子, 植野映, 角田博子, 他. 超音波を用いた乳癌検診の有用性と問題点. 日乳癌検診学会誌2000; 9: 151-153.
9) 鯉淵幸生, 飯野佑一, 横江隆夫, 他. 群馬県の乳癌集団検診受診者の年代別特徴.日乳癌検診学会誌1998; 7: 143-147.
1) 厚生省公衆衛生局編. 昭和54年第4次悪性新生物実態調査報告. 日本対癌協会, 1980, p.68.
6) 平成12年度厚生労働省がん検診の適正化に関する調査研究事業報告. 新たながん検診手法の有効性の評価. 日本公衆衛生協会, 2001, pp.247-275.
8) Kuroishi T, Hirose K, and Tajima K. “Cancer Mortality in Japan”, Gann Monograph on Cancer Research (1999).
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– reference: 9) 鯉淵幸生, 飯野佑一, 横江隆夫, 他. 群馬県の乳癌集団検診受診者の年代別特徴.日乳癌検診学会誌1998; 7: 143-147.
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15年間における手動超音波併用乳癌検診（以下, US併用検診）で検出した乳癌症例82例について受診時年齢を50歳未満と50歳以上に分けて集検精度, 診断能, 有自覚症状率を比...
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