高クレアチンキナーゼ血症およびミオグロビン尿症を伴つた発作性夜間血色素尿症の1症例

症例は27才の男.主要症状は黄疸,貧血および発作性の暗黒褐色尿であり,当科で発作性夜間血色素尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria, PNH)と診断した.入院時の主要検査成績はHb5.0g/dl,赤血球数184×104と著明な貧血があり,赤血球寿命は7日と短縮,また,acid hemolysis test, heat resistance test, acid serum thrombin test, sucrose hemolysis testはすべて陽性であつた.ただし,Coombs' test, Wassermann反応, Rosenbac...

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Published in日本内科学会雑誌 Vol. 61; no. 9; pp. 1187 - 1192
Main Authors 佐々木, 尚子, 中野, 益弘, 大野, 文俊, 三好, 和夫, 川井, 尚臣, 多田, 嘉明
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本内科学会 1972
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ISSN0021-5384
1883-2083
DOI10.2169/naika.61.1187

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Summary:症例は27才の男.主要症状は黄疸,貧血および発作性の暗黒褐色尿であり,当科で発作性夜間血色素尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria, PNH)と診断した.入院時の主要検査成績はHb5.0g/dl,赤血球数184×104と著明な貧血があり,赤血球寿命は7日と短縮,また,acid hemolysis test, heat resistance test, acid serum thrombin test, sucrose hemolysis testはすべて陽性であつた.ただし,Coombs' test, Wassermann反応, Rosenbach test, Donath-Landsteiner testはいずれも陰性であつた.また発作時尿中には分光学的,免疫学的にHbの存在を確認した.本症例で,とくに注目すべきことは経過中に短期間ではあるが血清creatine kinase活性値の上昇(最高246単位)があり,同時期にはヘモグロビン(Hb)尿のみならず,尿中ミオグロンビン(Mb)をも認めたことである.Mbが筋細胞に特異的に存在することから,本例では溶血の他に筋融解もおこつたと考えられ,本症が単に赤血球の異常だけでなく,筋細胞にも共通して病因を有することが示唆され興味深い.
ISSN:0021-5384
1883-2083
DOI:10.2169/naika.61.1187