救急・集中治療領域における深在性真菌症の診断・治療ガイドラインの影響 患者背景について

目的: 本邦で「深在性真菌症の診断・治療ガイドライン」 (2003年2月) が発表されたあとの救急・集中治療領域における真菌症に対する診断・治療の現状を明らかにする。 方法: 2003年5月から2004年8月まで, 日本クリティカルケア真菌症研究会に参加した救急・集中治療機能を持つ全国15の医療機関において診療した真菌感染が疑われる症例 (抗真菌薬投与症例あるいは抗菌薬不応発熱症例) について, 患者背景, リスクファクター, 治療内容, 患者転帰などを集計, 検討した。 結果: 評価対象症例125例のうち男性が87例 (69.6%), 女性が38例 (30.4%) であった。平均年齢は59....

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Published inThe Japanese Journal of Antibiotics Vol. 61; no. 1; pp. 18 - 28
Main Authors 島崎, 修次, 相川, 直樹, 村田, 厚夫, 織田, 成人, 平澤, 博之, 石川, 秀樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益財団法人 日本感染症医薬品協会 25.02.2008
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ISSN0368-2781
2186-5477
DOI10.11553/antibiotics1968b.61.18

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Summary:目的: 本邦で「深在性真菌症の診断・治療ガイドライン」 (2003年2月) が発表されたあとの救急・集中治療領域における真菌症に対する診断・治療の現状を明らかにする。 方法: 2003年5月から2004年8月まで, 日本クリティカルケア真菌症研究会に参加した救急・集中治療機能を持つ全国15の医療機関において診療した真菌感染が疑われる症例 (抗真菌薬投与症例あるいは抗菌薬不応発熱症例) について, 患者背景, リスクファクター, 治療内容, 患者転帰などを集計, 検討した。 結果: 評価対象症例125例のうち男性が87例 (69.6%), 女性が38例 (30.4%) であった。平均年齢は59.6歳で, 36.8%が70歳以上であった。血管内カテーテル留置例は78.4%であった。抗真菌薬は89例に投与されており, 初回投与, データ登録期間中ともにフルコナゾール (FLCZ) の使用頻度が最も高かった (74.2%, 80.9%)。抗真菌薬投与前に投与されていた抗菌薬はカルバペネム系抗菌薬が最も多かった (41.6%)。血液培養は85例 (68.0%) で, 監視培養は108例 (86.4%) で実施されており, 真菌は血液培養では10例 (11.8%), 監視培養では72例 (66.7%) に検出された。血液培養ではCandida albicansが最も多く, 10例中5例 (50.0%) に検出された。監視培養でもC. albicansの頻度が最も多く, 72例中40例 (55.6%) に検出された。データ登録終了時に解熱したものは65.6%であった。データ登録終了時, データ登録開始から28日後に生存していたものは, それぞれ78.4%, 69.6%であった。 結論: 救急・集中治療領域における患者は, 深在性真菌症のリスクファクターを有する症例が多く, 対象とした125例中血液培養陽性例は11.8%, 監視培養陽性例は66.7%であった。検出真菌の多くはCandida属であり, 抗真菌薬としてFLCZが最も多く使用されていた。
ISSN:0368-2781
2186-5477
DOI:10.11553/antibiotics1968b.61.18