徐放性LH-RH類似物質―高分子担体複合体の試作と臨床的応用
天然LH-RHよりも強いgonadotropin放出活性を示すanalogue, 〔D-Leu-des-Gly-NH102, pro-ethylamide9〕-Gn RH (TAP144)を合成した。この水溶性薬物に徐放性機能(zero-order release)を付与する目的で, sandwich構造のビニルコポリマー含有複合体を試作した。この複合体を雄性ウイスター系ラットに埋入した時のserum TAP144濃度は試験期間(70日)を通して30ng/mlでほぼ一定値を保った。しかし, 前立腺癌の患者に埋入した場合, serum TAP144濃度は21日目付近から経時的に減少し, その減少...
Saved in:
| Published in | 人工臓器 Vol. 13; no. 3; pp. 1168 - 1171 |
|---|---|
| Main Authors | , , , , , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
一般社団法人 日本人工臓器学会
1984
|
| Online Access | Get full text |
| ISSN | 0300-0818 1883-6097 |
| DOI | 10.11392/jsao1972.13.1168 |
Cover
| Summary: | 天然LH-RHよりも強いgonadotropin放出活性を示すanalogue, 〔D-Leu-des-Gly-NH102, pro-ethylamide9〕-Gn RH (TAP144)を合成した。この水溶性薬物に徐放性機能(zero-order release)を付与する目的で, sandwich構造のビニルコポリマー含有複合体を試作した。この複合体を雄性ウイスター系ラットに埋入した時のserum TAP144濃度は試験期間(70日)を通して30ng/mlでほぼ一定値を保った。しかし, 前立腺癌の患者に埋入した場合, serum TAP144濃度は21日目付近から経時的に減少し, その減少傾向は複合体を生体から摘出する時点(82日)まで続いた。薬理作用は, 動物実験が前立腺腹葉の萎縮率を尺度として, 臨床例においてはserum LH, FSH, Tの各濃度を尺度として評価した。前立腺癌患者のgonadotropinは21日目まで著明に減少し, そののち一定値を保つことが分った。この場合, serum T濃度は睾丸去勢レベル以下であった。これより前立腺癌に対する徐放性TAP144複合体の有効性が示唆された。 |
|---|---|
| ISSN: | 0300-0818 1883-6097 |
| DOI: | 10.11392/jsao1972.13.1168 |