塩化コバルトによる家兎の肝および心の脂質ならびに糖質代謝におよぼす影響について

体重1kg当り25mgの塩化コバルトを空腹状態のオス家兎に毎日1回3日間注射して肝, 心の脂質ならびに糖質代謝の中間生成物に及ぼす影響を観察した。 塩化コバルト注射によって血糖は顕著に上昇し, 心では空腹によって低下したブドウ糖は増加した。肝では塩化コバルトによる血糖上昇に伴ってブドウ糖は顕著に上昇し, 空腹によって減少したG-6-P, F-6-Pの含有量は増加した。 塩化コバルトによって血漿のトリグリセライド (TG) は空腹群に比べて約4倍増加したが心のTGは増加の傾向を示し, 肝のTGも正常摂食群に比べて増加したが空腹群に比べて有意差はなかった。塩化コバルト注射によって, 空腹状態で上昇...

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Published in日本衛生学雑誌 Vol. 28; no. 5; pp. 456 - 462
Main Authors 長谷川, 武志, 小池, 重夫, 大山, 佳代子, 森田, 博行
Format Journal Article
LanguageEnglish
Japanese
Published 一般社団法人日本衛生学会 1973
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ISSN0021-5082
1882-6482
DOI10.1265/jjh.28.456

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Summary:体重1kg当り25mgの塩化コバルトを空腹状態のオス家兎に毎日1回3日間注射して肝, 心の脂質ならびに糖質代謝の中間生成物に及ぼす影響を観察した。 塩化コバルト注射によって血糖は顕著に上昇し, 心では空腹によって低下したブドウ糖は増加した。肝では塩化コバルトによる血糖上昇に伴ってブドウ糖は顕著に上昇し, 空腹によって減少したG-6-P, F-6-Pの含有量は増加した。 塩化コバルトによって血漿のトリグリセライド (TG) は空腹群に比べて約4倍増加したが心のTGは増加の傾向を示し, 肝のTGも正常摂食群に比べて増加したが空腹群に比べて有意差はなかった。塩化コバルト注射によって, 空腹状態で上昇した血漿FFAは減少したが正常摂食群に比べると増加していた。 上昇した血漿FFAは肝でエステル化されてTGの合成に消費されたが残りは Ketone 体合成に使われ, コバルト注射群と空腹群との血中のβ-Hydroxybutyrate 量の上昇は同じ程度であった。
ISSN:0021-5082
1882-6482
DOI:10.1265/jjh.28.456