輸血によるB型肝炎ウイルス (HBV) 感染例でのウイルスゲノム解析: 供血者および患者における quasispecies の解析について

輸血によるウイルス感染のリスクは血清学的検査法の向上, さらに核酸増幅検査(NAT)の導入により激減した1). B型肝炎ウイルス(HBV)感染も同様に著しく減少したが, 少数ながら現在も輸血によるHBV感染が疑われる症例が血液センターに寄せられている. 日本赤十字社では1996年9月以降, 献血と同時に採血された検体を保管し, 後日ウイルス感染など輸血による副作用が疑われた場合には, 患者に輸血されたものと同じ血液を用いて解析を行っている. 輸血後HBV感染が疑われた症例では, 該当する献血者の保管検体を用いて血清学的検査およびHBV DNAの検出を行い, HBV DNAが検出さ.れた場合には...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 48; no. 6; pp. 473 - 479
Main Authors 千代田, 晨, 松本, 千恵子, 光永, 滋樹, 中島, 一格, 小谷, 珠華, 十字, 猛夫, 神田, 和亮, 塩沢, 理英子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 2002
日本輸血学会
Online AccessGet full text
ISSN0546-1448
1883-8383
DOI10.3925/jjtc1958.48.473

Cover

More Information
Summary:輸血によるウイルス感染のリスクは血清学的検査法の向上, さらに核酸増幅検査(NAT)の導入により激減した1). B型肝炎ウイルス(HBV)感染も同様に著しく減少したが, 少数ながら現在も輸血によるHBV感染が疑われる症例が血液センターに寄せられている. 日本赤十字社では1996年9月以降, 献血と同時に採血された検体を保管し, 後日ウイルス感染など輸血による副作用が疑われた場合には, 患者に輸血されたものと同じ血液を用いて解析を行っている. 輸血後HBV感染が疑われた症例では, 該当する献血者の保管検体を用いて血清学的検査およびHBV DNAの検出を行い, HBV DNAが検出さ.れた場合には, 患者と献血者のHBV遺伝子の相同性をPCR direct sequencing法により解析している2). そして, 患者と献血者のHBV DNA塩基配列が完全に一致すると輸血による感染の可能性が高いと判断される.
ISSN:0546-1448
1883-8383
DOI:10.3925/jjtc1958.48.473