先天性第V因子異常症のパキスタン人男児例

第V因子異常症を伴う重症先天性第V因子欠乏症のパキスタン人男児の1例を報告する.患児は, 血縁関係にあるパキスタン人の両親の第一子としてベルリンにて出生.新生児期より皮膚粘膜の出血症状があった..血漿第V因子活性の高度の低下があり先天性第V因子欠乏症 (重症型) と診断された.10歳以後頭蓋内出血を3回繰り返したが新鮮凍結血漿にて治療した.患児の血漿第V因子活性は正常の1%以下であった.しかしEIA法にて測定した第V因子抗原量は正常対照の21%であった.したがって第V因子異常を伴った重症型第V因子乏症と診断された.家族全員の凝固学的検索を行い, 両親および弟で第V因子活性および抗原の中等度低下...

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Published in日本小児血液学会雑誌 Vol. 4; no. 1; pp. 80 - 84
Main Authors 稲田, 誠, 西岡, 淳二, 吉岡, 章, 高木, 秀二, 鈴木, 宏冶
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児血液・がん学会 1990
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ISSN0913-8706
1884-4723
DOI10.11412/jjph1987.4.80

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Summary:第V因子異常症を伴う重症先天性第V因子欠乏症のパキスタン人男児の1例を報告する.患児は, 血縁関係にあるパキスタン人の両親の第一子としてベルリンにて出生.新生児期より皮膚粘膜の出血症状があった..血漿第V因子活性の高度の低下があり先天性第V因子欠乏症 (重症型) と診断された.10歳以後頭蓋内出血を3回繰り返したが新鮮凍結血漿にて治療した.患児の血漿第V因子活性は正常の1%以下であった.しかしEIA法にて測定した第V因子抗原量は正常対照の21%であった.したがって第V因子異常を伴った重症型第V因子乏症と診断された.家族全員の凝固学的検索を行い, 両親および弟で第V因子活性および抗原の中等度低下を認め, ヘテロ接合の保因者と考えられた.この遺伝形式は常染色体劣性遺伝の形式によく一致していた.
ISSN:0913-8706
1884-4723
DOI:10.11412/jjph1987.4.80