心筋梗塞症における糖尿病の研究 臨床症状と経静脈性ブドウ糖負荷試験による検討

過去11年間にCCUに入院した急性心筋硬塞患者を糖尿病群と非糖尿病群に分け, その臨床症状を比較検討した.また, 経静脈性ブドウ糖負荷試験を行い耐糖能を検討した.糖尿病の合併は32.4%.糖尿病群では無痛性梗塞が12.0%と多く, 糖尿病群女性では無痛性梗塞を含む非定型的発作症状で発症するものが43.5%と多い.また, 60歳未満の若年者においては糖尿病群で無痛性梗塞を含む非定型的発作症状で発症するものが多い.ポンプ失調の合併は糖尿病群女性でKillip III, IV群が43.4%と多く, 年齢的には糖尿病群では若年者から合併する傾向にあった.糖尿病群での急性期死亡はポンプ失調死によるものが...

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Published in昭和医学会雑誌 Vol. 41; no. 4; pp. 353 - 365
Main Authors 小林, 正樹, 藤巻, 忠夫, 長谷川, 武志, 五十嵐, 寛, 小島, 喜久子, 塩原, 保彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 昭和大学学士会 01.08.1981
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ISSN0037-4342
2185-0976
DOI10.14930/jsma1939.41.353

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Summary:過去11年間にCCUに入院した急性心筋硬塞患者を糖尿病群と非糖尿病群に分け, その臨床症状を比較検討した.また, 経静脈性ブドウ糖負荷試験を行い耐糖能を検討した.糖尿病の合併は32.4%.糖尿病群では無痛性梗塞が12.0%と多く, 糖尿病群女性では無痛性梗塞を含む非定型的発作症状で発症するものが43.5%と多い.また, 60歳未満の若年者においては糖尿病群で無痛性梗塞を含む非定型的発作症状で発症するものが多い.ポンプ失調の合併は糖尿病群女性でKillip III, IV群が43.4%と多く, 年齢的には糖尿病群では若年者から合併する傾向にあった.糖尿病群での急性期死亡はポンプ失調死によるものが多かった.経静脈性ブドウ糖負荷試験では, 糖尿病群は非糖尿病群に比しK値が有意に低い.フィッシャーの判別関数を用いた検討では糖尿病群と非糖尿病群を分ける値は0.85であった.従って急性期においても80%以上の確率で糖尿病を診断することが可能と思われた.
ISSN:0037-4342
2185-0976
DOI:10.14930/jsma1939.41.353