境界性パーソナリティ傾向に対する予測因子としての抑うつと回避 大学生を対象とした探索的研究

近年、うつ病などの気分障害患者は増加傾向にある。また、こうした気分障害と境界性パーソナリティ障害との併存率の高さを指摘する研究は数多くなされてきた。しかしながら、気分障害と境界性パーソナリティ障害との関連性について、診断学的に因果関係があるのかどうかについては十分なコンセンサスを得ていない。そこで、本研究は、探索的研究として、大学生を対象に、抑うつ傾向と境界例心性との関連性について、回避を媒介変数としたパスモデルを作成し、共分散構造分析で検討した。その結果、抑うつ傾向は回避を媒介として境界例心性に影響をもつということ、さらに、抑うつ傾向は直接的に境界例心性に影響することが確認された。一方、回避...

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Published in行動医学研究 Vol. 19; no. 1; pp. 25 - 31
Main Authors 安達, 圭一郎, 上野, 徳美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本行動医学会 01.03.2013
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ISSN1341-6790
2188-0085
DOI10.11331/jjbm.19.25

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Summary:近年、うつ病などの気分障害患者は増加傾向にある。また、こうした気分障害と境界性パーソナリティ障害との併存率の高さを指摘する研究は数多くなされてきた。しかしながら、気分障害と境界性パーソナリティ障害との関連性について、診断学的に因果関係があるのかどうかについては十分なコンセンサスを得ていない。そこで、本研究は、探索的研究として、大学生を対象に、抑うつ傾向と境界例心性との関連性について、回避を媒介変数としたパスモデルを作成し、共分散構造分析で検討した。その結果、抑うつ傾向は回避を媒介として境界例心性に影響をもつということ、さらに、抑うつ傾向は直接的に境界例心性に影響することが確認された。一方、回避を媒介としないものの、境界例心性から抑うつ傾向への逆向きのパスモデルも適合度指標が高かった。以上の結果から、今後は、臨床群を対象にしたモデルの再検討の必要性が示唆された。
ISSN:1341-6790
2188-0085
DOI:10.11331/jjbm.19.25