ガイドラインに照らした学校における食物アレルギー対応の現状と課題 中学校家庭科教員を対象とした全国調査

近年, 食物アレルギー生徒が増加し, 学校では給食や調理実習等食を伴う場面において対応が求められている. 本研究では, 学校教育現場において, 「学校給食における食物アレルギー対応指針」, 「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」に沿った対応がどの程度行われているのかを調査・分析し, 学校における食物アレルギー対応の課題を明らかにすることを目的とする. 全国調査の時期は2022年10~12月, 対象は全国47都道府県庁所在地中学校の家庭科教員で, 郵送及びインターネット回答方式による質問紙調査を実施した. 質問紙配布数は計2,490部, 回答数は585部, 回収率は23.5%だった...

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Published in日本家政学会誌 Vol. 76; no. 4; pp. 162 - 175
Main Authors 佐藤, 佐織, 増渕, 哲子, 堀内, かおる
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本家政学会 2025
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ISSN0913-5227
1882-0352
DOI10.11428/jhej.76.162

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Summary:近年, 食物アレルギー生徒が増加し, 学校では給食や調理実習等食を伴う場面において対応が求められている. 本研究では, 学校教育現場において, 「学校給食における食物アレルギー対応指針」, 「学校のアレルギー疾患に対する取り組みガイドライン」に沿った対応がどの程度行われているのかを調査・分析し, 学校における食物アレルギー対応の課題を明らかにすることを目的とする. 全国調査の時期は2022年10~12月, 対象は全国47都道府県庁所在地中学校の家庭科教員で, 郵送及びインターネット回答方式による質問紙調査を実施した. 質問紙配布数は計2,490部, 回答数は585部, 回収率は23.5%だった. 結果は以下の通りである. 全国の中学校で食物アレルギー対応委員会を設置していた学校は30.1%, 食物アレルギー生徒一覧表を全教員に提示している学校は83.2%, 食物アレルギー対応のための教員向け研修会を実施している学校は73.7%と, ガイドライン等に沿った対応が徹底されておらず, 学校給食提供方式による違いが見られた. また, 食物アレルギー症状を持つ生徒の割合を把握している家庭科教員は80.5%, 調理実習中にヒヤリハットを経験したことがある家庭科教員は10.6%と1割程度おり, 安全な食生活教育を行う上で課題が見いだされた.
ISSN:0913-5227
1882-0352
DOI:10.11428/jhej.76.162