当院における骨付き膝蓋腱を用いた膝前十字靭帯再建術後の膝筋力値 ~性別・年代別での比較 O-041 骨関節・脊髄

【はじめに】 膝前十字靭帯再建術(以下、ACL再建術)後における膝伸展・屈曲筋力の回復に関わる因子として、性別や年齢などが報告されている。円滑にリハビリテーションを進めていく上でそれらの傾向を踏まえ、介入を行う必要があるが、膝屈筋腱を用いたACL再建術では性別・年代別の筋力値の報告がなされている一方、骨付き膝蓋腱を用いたACL再建術(以下、BTB再建術)の報告は少ない。そこで今回、BTB再建術後における膝伸展筋・屈曲筋の筋力値を性別・年代別に算出し、傾向を把握することを目的に検討を行った。【対象と方法】 対象は2013年1月から2022年3月に当院で初回BTB再建術を施行した188例(男性88...

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Published in九州理学療法士学術大会誌 p. 41
Main Authors 福島, 佳織, 白尾, 泰宏, 濱里, 雄次郎, 吉田, 研吾
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 公益社団法人 日本理学療法士協会 九州ブロック会 2023
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ISSN2434-3889
DOI10.32298/kyushupt.2023.0_41

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Abstract 【はじめに】 膝前十字靭帯再建術(以下、ACL再建術)後における膝伸展・屈曲筋力の回復に関わる因子として、性別や年齢などが報告されている。円滑にリハビリテーションを進めていく上でそれらの傾向を踏まえ、介入を行う必要があるが、膝屈筋腱を用いたACL再建術では性別・年代別の筋力値の報告がなされている一方、骨付き膝蓋腱を用いたACL再建術(以下、BTB再建術)の報告は少ない。そこで今回、BTB再建術後における膝伸展筋・屈曲筋の筋力値を性別・年代別に算出し、傾向を把握することを目的に検討を行った。【対象と方法】 対象は2013年1月から2022年3月に当院で初回BTB再建術を施行した188例(男性88例、女性100例)とした。反対側損傷や再損傷、その他の靭帯損傷合併例、手術時に半月板縫合術を施行した症例は除外した。方法は、Isoforcee GT-380(オージー技研社製)にて測定した術後8ヵ月における角速度60°deg/Secでの膝伸展・屈曲筋力の健患比と患側の体重支持指数(以下、WBI)をカルテ内より集計した。10代、20代、30代、40代の男女別に群分し、筋力値を比較した。統計学的処理は多重比較として、Steel-Dwass法を実施し、有意水準は5%未満とした。【結果】 角速度60°deg/Secでの膝伸展筋力の健患比は、男性の10代が85.5%、20代が89.5%、30代が70.8%、40代が73.5%、女性の10代が76.7%、20代が74.9%、30代が66.1%、40代が67.8%で男女ともに10代・20代と比較して、30代・40代が有意に低値を示した(P<0.01)。角速度60°deg/Secでの膝屈曲筋力の健患比は、男性の10代が92.4%、20代が88.3%、30代が91.0%、40代が93.2%、女性の10代が94.4%、20代が92.4%、30代が89.8%、40代が90.3%でいずれも有意差は認められなかった。患側のWBIは男性の10代が1.23、20代が1.3、30代が1.11、40代が1.25、女性の10代が1.05、20代が1.0、30代が0.93、40代が0.93で、男性では20代と比較して、30代が有意に低値を示し、女性では10代と比較して、30代が有意に低値を示した(P<0.05)。【考察】 舩元らはBTB再建術において、30歳以上の症例では30歳未満の症例と比較して、筋力回復の遅延または低下が示唆されたと報告している。本研究では、角速度60°deg/Secでの膝伸展筋力の健患比において、男女ともに10代・20代と比較して、30代・40代が有意に低値を示し、船元らの報告と同様な結果となった。これらの要因として、術後の疼痛や可動域制限の有無、通院頻度、自主トレーニングの実施状況など様々な要因が考えられるが今回の検討では抽出に至らなかった。今後、要因分析を行い、その結果から30-40代への介入内容を再考することが課題として挙げられた。【結語】 角速度60°deg/Secでの膝伸展筋力の健患比が男女ともに10代・20代と比較して、30代・40代が有意に低値を示したが、要因の抽出には至らなかった。今後、要因分析を行い、30-40代への介入内容を再考する必要がある。【倫理的配慮】 本研究は当院の倫理審査委員会の承諾を得て実施した(承認番号NCR22-15)。ヘルシンキ宣言に基づき、個人が特定できないよう匿名化し、データの漏洩がないよう配慮した。
AbstractList 【はじめに】 膝前十字靭帯再建術(以下、ACL再建術)後における膝伸展・屈曲筋力の回復に関わる因子として、性別や年齢などが報告されている。円滑にリハビリテーションを進めていく上でそれらの傾向を踏まえ、介入を行う必要があるが、膝屈筋腱を用いたACL再建術では性別・年代別の筋力値の報告がなされている一方、骨付き膝蓋腱を用いたACL再建術(以下、BTB再建術)の報告は少ない。そこで今回、BTB再建術後における膝伸展筋・屈曲筋の筋力値を性別・年代別に算出し、傾向を把握することを目的に検討を行った。【対象と方法】 対象は2013年1月から2022年3月に当院で初回BTB再建術を施行した188例(男性88例、女性100例)とした。反対側損傷や再損傷、その他の靭帯損傷合併例、手術時に半月板縫合術を施行した症例は除外した。方法は、Isoforcee GT-380(オージー技研社製)にて測定した術後8ヵ月における角速度60°deg/Secでの膝伸展・屈曲筋力の健患比と患側の体重支持指数(以下、WBI)をカルテ内より集計した。10代、20代、30代、40代の男女別に群分し、筋力値を比較した。統計学的処理は多重比較として、Steel-Dwass法を実施し、有意水準は5%未満とした。【結果】 角速度60°deg/Secでの膝伸展筋力の健患比は、男性の10代が85.5%、20代が89.5%、30代が70.8%、40代が73.5%、女性の10代が76.7%、20代が74.9%、30代が66.1%、40代が67.8%で男女ともに10代・20代と比較して、30代・40代が有意に低値を示した(P<0.01)。角速度60°deg/Secでの膝屈曲筋力の健患比は、男性の10代が92.4%、20代が88.3%、30代が91.0%、40代が93.2%、女性の10代が94.4%、20代が92.4%、30代が89.8%、40代が90.3%でいずれも有意差は認められなかった。患側のWBIは男性の10代が1.23、20代が1.3、30代が1.11、40代が1.25、女性の10代が1.05、20代が1.0、30代が0.93、40代が0.93で、男性では20代と比較して、30代が有意に低値を示し、女性では10代と比較して、30代が有意に低値を示した(P<0.05)。【考察】 舩元らはBTB再建術において、30歳以上の症例では30歳未満の症例と比較して、筋力回復の遅延または低下が示唆されたと報告している。本研究では、角速度60°deg/Secでの膝伸展筋力の健患比において、男女ともに10代・20代と比較して、30代・40代が有意に低値を示し、船元らの報告と同様な結果となった。これらの要因として、術後の疼痛や可動域制限の有無、通院頻度、自主トレーニングの実施状況など様々な要因が考えられるが今回の検討では抽出に至らなかった。今後、要因分析を行い、その結果から30-40代への介入内容を再考することが課題として挙げられた。【結語】 角速度60°deg/Secでの膝伸展筋力の健患比が男女ともに10代・20代と比較して、30代・40代が有意に低値を示したが、要因の抽出には至らなかった。今後、要因分析を行い、30-40代への介入内容を再考する必要がある。【倫理的配慮】 本研究は当院の倫理審査委員会の承諾を得て実施した(承認番号NCR22-15)。ヘルシンキ宣言に基づき、個人が特定できないよう匿名化し、データの漏洩がないよう配慮した。
Author 吉田, 研吾
白尾, 泰宏
濱里, 雄次郎
福島, 佳織
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  fullname: 福島, 佳織
  organization: 今村総合病院 スポーツ整形外科
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  fullname: 白尾, 泰宏
  organization: 今村総合病院 リハビリテーション部
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SubjectTerms 性別・年代別
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膝前十字靭帯再建術
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