臨床サイドからみたリハビリテーション工学への要望と今後の課題

I. はじめに リハビリテーションの概念が侵透するにつれて, 障害者の多様なニーズに対処するための技術の進歩が要求されるようになってきた. 肢体不自由者のための義肢, 装具, 車椅子, 自助具をはじめとして, 最近では電動車椅子の実用普及化を皮切りに, 電動リフター, 環境制御装置, コミュニケーションエイドなど, 各種のリハビリテーション機器が登場しつつある. これらの機器システムの研究開発から実用化, 更には障害者の特性の客観的評価等を行なうリハビリテーション工学(以下, リハ工学と省略)についてはまだ本邦では実績が浅く, はたして確立しているのかどうか疑問がある. わが国のリハ工学の実況...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 21; no. 3; pp. 193 - 197
Main Author 加倉井周一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 1984
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:I. はじめに リハビリテーションの概念が侵透するにつれて, 障害者の多様なニーズに対処するための技術の進歩が要求されるようになってきた. 肢体不自由者のための義肢, 装具, 車椅子, 自助具をはじめとして, 最近では電動車椅子の実用普及化を皮切りに, 電動リフター, 環境制御装置, コミュニケーションエイドなど, 各種のリハビリテーション機器が登場しつつある. これらの機器システムの研究開発から実用化, 更には障害者の特性の客観的評価等を行なうリハビリテーション工学(以下, リハ工学と省略)についてはまだ本邦では実績が浅く, はたして確立しているのかどうか疑問がある. わが国のリハ工学の実況を知る目的で, MとEの代表者に対するアンケート調査を行なったので, その結果を報告するとともに, 医学側からみたリハ工学に対する問題点を提起したい. II. リハ工学の誕生 洋の東西を問わず, 戦争を契機として切断者に対する義肢の技術が進歩するのが歴史の通例である.
ISSN:0034-351X