軽症脳梗塞患者におけるTrail Making Test日本版 (TMT-J) スコアの経時的変化

Trail Making Test (TMT) は注意機能の評価スケールとして広く用いられている. TMTの完遂時間 (TMTスコア) は脳疾患による注意障害により延長する. TMTスコアは軽症脳梗塞患者の一部においても高値を示す. これまで, 本邦において標準化された検査用紙, 検査方法は確立されていなかったが, 2019年にTMT日本版 (TMT-J) が発表された. 本研究は, 軽症脳梗塞の早期におけるTMT-Jスコアの異常および経時的変化を明らかにすることを目的とした. 我々は, 当院に入院した脳梗塞の患者のTMT-Jスコアを後方視的に調査し, TMT-Jの初回評価を脳梗塞発症8~14...

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Published in日本農村医学会雑誌 Vol. 69; no. 4; pp. 351 - 357
Main Authors 吉岡実穂, 小林禅, 加藤かおり, 井上桂輔, 箱守正樹, 豊田和典, 沼沢祥行, 松田隼弥, 片山優希, 石原正一郎, 冨滿弘之, 新谷周三
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本農村医学会 30.11.2020
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ISSN0468-2513

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Summary:Trail Making Test (TMT) は注意機能の評価スケールとして広く用いられている. TMTの完遂時間 (TMTスコア) は脳疾患による注意障害により延長する. TMTスコアは軽症脳梗塞患者の一部においても高値を示す. これまで, 本邦において標準化された検査用紙, 検査方法は確立されていなかったが, 2019年にTMT日本版 (TMT-J) が発表された. 本研究は, 軽症脳梗塞の早期におけるTMT-Jスコアの異常および経時的変化を明らかにすることを目的とした. 我々は, 当院に入院した脳梗塞の患者のTMT-Jスコアを後方視的に調査し, TMT-Jの初回評価を脳梗塞発症8~14日後, 再評価を発症29-35日後に実施できた患者について検討した. 初回評価時, TMT-J Part Aは21例中1例が完遂不能であった. TMT-J Part Aの平均値は67秒で, 45%の患者で異常高値を示した. TMT-J Part Bは20例中2例が完遂不能であった. TMT-J Part Bの平均値は135秒で, 61%の患者で異常高値を示した. 再評価時, Part Aは76%, Part Bは73%の患者で改善していた. 本研究により, 軽症脳梗塞発症8~14日後のTMT-Jスコアの異常は, 多くの患者で経時的に改善することが示された.
ISSN:0468-2513